2019年06月26日 公開
さて、製薬業界を代表する会社の1つ、アステラス製薬の損益計算書を見てみましょう。次の図をごらんください。
なんと言っても注目は売上総利益率(粗利益率)の高さです。売上総利益率とは、売上総利益を売上高で割ったもので、決算書分析ではこうした比率がしばしば使われます。
アステラスの売上総利益率は77%超です。上場企業のおおよその売上総利益率は25%ぐらいですから、その3倍の利益率です。街で売っている薬の主成分は、粗利益なのでしょうか(このような発言は叱られるかもしれませんね)。
昔、アステラスと同業の武田薬品の人に聞いたことがあります。
「製薬の業界の粗利益率は高過ぎるのではないでしょうか?」
「そんなことはありません。もちろん、研究開発費などが多くかかることもありますが、薬の業界はいつどんなことがあるか、わかりません。十分な収益性を持っていなければ、企業の安全性が保てないのです」
即座に答えが返ってきました。
それにしても、製薬業界の売上総利益率や営業利益率は高水準です。ちょっとうらやましく感じるのは私だけでしょうか。
(『ざっくりわかる「決算書」分析』より抜粋・編集)
更新:11月22日 00:05