そんなペンス氏が、演説において厳しく追及したのが、中国政府による宗教弾圧です。
どの国でもカトリック司教の任命権はローマ法王(現在はフランシスコ法王)にあります。しかし、中国共産党はそれを認めず、無神論の共産党政権がカトリック司教を任命するという奇妙な現象が起こっています。
共産党政権は、バチカンが任命したカトリック司教を、弾圧しています。見つかれば十字架も教会も破壊されてしまうので、秘密裏に集会を開いているのです(地下教会)。江戸時代の隠れキリシタンそのものでしょう。
中国でのカトリック教会の分裂を憂いたローマ法王は、ついに中国政府公認の司教を追認する方向で合意しました。しかし、信仰の自由を重んじるペンス氏は、こうした中国政府の宗教介入を、強く批判しているのです。
世俗権力と宗教的権威とが聖職者の任命権で争うことを、「叙任権闘争」と言います。
中世ヨーロッパには、神聖ローマ皇帝ハインリヒ4世が、自分の言うことを聞く司教を勝手に任命しました。それに対してローマ法王グレゴリウス7世が異を唱え、ハインリヒ4世を破門。ハインリヒ4世は、グレゴリウス7世に許しを請いました。これが、「カノッサの屈辱」と呼ばれる事件です。
米中摩擦には、現在の「叙任権闘争」が影を落としています。中国政府が米中対立を、単なる貿易問題だと捉えているのなら、米中 関係は悪化の一途を辿るでしょう。今後、アメリカに対してどんなアクションを起こすのか、中国の動向に注目です。
更新:11月22日 00:05