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<連載第4回>日本人の履歴書は「ここ」で落とされる

2019年05月27日 公開
2023年03月02日 更新

戸塚隆将(ベリタス代表取締役)

履歴書は必ず「能動態」で書く

ところが、英語では、仮に受動態を使っても、「評価された」「周りから推された」といった意味は伝わりません。それどころか、外国人の目から見ると、受動態の文章は「他人に振り回されている」感じを強く与えるので、先述したように評価を下げてしまいかねません。

そのため、英文レジュメへのアドバイスを求めてきた人には、「能動態」への書き直しをすすめています。たとえば、次のようにです。

I joined the finance department.
(財務部に異動しました)

I moved from the Tokyo office to the Singapore office.
(東京オフィスからシンガポールオフィスに転勤しました)

I became the leader of the planning group.
(企画部リーダーになりました)

この表現だと、「私が」自分の意志で移った、役目を引き受けたという積極的かつ前向きで、キャリアアップした印象を読み手に与えることができます。

英文レジュメを書くときには、「命じられた」「選抜された」プロセスを気にしすぎる必要はありません。人事部や上司の任命はあったにせよ、最終的には自分で決断して新しい職務についたはずです。その事実のみを書くことがポイントです。

 

「置かれた場所で咲く」ことも大事だが……

英文レジュメの必要性の有無にかかわらず、「能動態」の意識、すなわち「キャリアは与えられるものではなく、積極的に自らがデザインするものである」という意識を持つことは、どのような職場環境においても常に求められていることです。

会社というのは、当然ながらチームワークが重視され、皆で成果を出すことを求められる組織です。そのため、優秀な人材だからといって自分の思いどおりの働き方ができるとは限りません。時には意に沿わない異動をすることになったり、自分には荷が重いと思われる役割を果たさなければならなかったりすることもあるでしょう。

私たちが育った日本の社会では、与えられた場所で自分の職務を全うすることの大切さを学びます。私は、そういった日本人の美徳が私たちの強みの一つであり、今後も大切に引き継いでいくべき価値観であると考えています。

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受け身ではいい仕事は回ってこない >

著者紹介

戸塚隆将(とつか・たかまさ)

ベリタス代表取締役

1974年、東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。ゴールドマン・サックス勤務後、ハーバード経営大学院(HBS)でMBA取得。マッキンゼーを経て、2007年、ベリタス株式会社(旧シーネクスト・パートナーズ株式会社)を設立、代表取締役に就任。
同社にて企業のグローバル人材開発を支援するほか、HBSのケーススタディ教材を活用したプロフェッショナル英語習得プログラム「ベリタスイングリッシュ」を主宰。グローバル人材を輩出し続けている。著書に『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』(朝日新聞出版)等がある。
ベリタス株式会社
http://www.veritas-english.jp/company/
ベリタスイングリッシュ
http://www.veritas-english.jp/

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