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200万部突破!池上彰氏が語る『伝える力』誕生秘話&人気の理由

2019年04月03日 公開
2024年10月10日 更新

池上彰(ジャーナリスト)

記者時代の「上から目線」の失敗談


(写真撮影:宮下マキ)

――「こんなことも知らないの?」と、イライラすることはないのですか?

「実はこれについては、失敗談があるのです。NHKの記者時代の話ですが、文部省の記者クラブで一緒だった民放の若い女性記者から『池上さんは私が何か言うたびに「そんなことも知らないのか」って顔をされて、とても怖かったんです』と言われてしまったのです。
新聞社やNHKでは、当時の私も含め、中央の官公庁は地方勤務などを経たベテランが担当することが多かったのですが、民放では大学を出たばかりの若い人が配属されることもありました。当然ですが、取材力には大きな差があるわけです。
とはいえ、そんな顔をしていたとはまったく自覚していなかったので、とてもショックでした。自分はそんな上から目線でモノを言っていたのか、と……。

その後は『知らない』『わからない』という人に出会うと、『知らないっていうことを、私に教えてくれた。ありがたいことだ』と思うようになったのです。番組で芸能人のゲストがびっくりするような質問をしても『なるほど、そういう視点があるのか。教えてくれてありがとう』と、むしろ嬉しくなるのです」

 

とりあえず「周りに伝える」ことから始めてみよう

――自分の話がうまく伝わらないことに悩んでいる人は多いと思います。そんな人は、何から始めたらよいでしょうか。

「まずは、自分の家族などの身近な人に伝えてみることだと思います。自分が気づいたことや知らなかったことを、周りの人に積極的に話してみるのです。
大人はプライドがあるので、わからなくても『わからない』と言ってくれませんが、家族ならちゃんと『わからない』と言ってくれますよね。これが大事なのです。
自分の話のどこがわかりにくいのかは、自分ではなかなか気づけません。家族でなくてもいいので、正直に、あるいは辛辣にズケズケ言ってくれる人を見つけて指摘してもらう。それが伝える力を磨く近道です」

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著者紹介

池上彰(いけがみあきら)

ジャーナリスト

1950年生まれ。慶應義塾大学卒業後、1973年にNHK入局。1994年からは11年にわたりニュース番組のキャスターとして「週刊こどもニュース」に出演。2005年よりフリーのジャーナリストとして執筆活動を続けながら、テレビ番組などでニュースをわかりやすく解説し、幅広い人気を得ている。また、5つの大学で教鞭をとる。『池上彰の未来予測 After 2040』(主婦の友社)など著書多数。

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