2019年04月01日 公開
2023年03月10日 更新
ステップ5は「リピーティング」。音声を1文ずつ区切って再生し、スクリプトを見ながらリピートします。自分が思い込んでいる発音をいったん捨てて、聞こえるままに発音するのがコツです。ステップ2でつかんだ自分の弱点も振り返りながら、リピートしましょう。
そこで有効なのが、スクリプトに音の特徴を書き込むことです。抑揚やアクセント、単語がつながって音が変化するリエゾンなどを、記号で書き込みましょう。
次のステップ6は「オーバーラッピング」。スクリプトを見ながら、音声とぴったり重なるよう同時に音読し、リズムやスピードのズレをチェックします。
最初は音声を止めずに流し、全体をオーバーラッピング。繰り返すうちに、苦手な箇所があることがわかるはずです。
苦手な箇所がわかったら、その箇所の「ポイント練習」に移ります。その文だけを10回くらい聞いて、音の特徴やリズムをつかんだら、さらに特に言いづらい語句を抜き出して、最初はゆっくり、だんだん速く、スムーズに口が回るようにします。
ポイント練習は7ステップの中で最も時間がかかりますが、きちんと発音できるようになることで、音声の聞き取りもできるようになります。
苦手部分を全部取り除けたと思ったら、再び全体をオーバーラッピング。音声とほぼ同じ速度で読めるようになれば、いよいよ最後のステップです。
ステップ7の「シャドーイング」では、スクリプトを見ず、音声だけを追います。イヤホンをつけて集中し、音声の0.5秒後を追って真似をしましょう。
0.5秒以上遅れると、瞬く間に置いていかれます。そうなったら、ムリについていこうとせず、次のセンテンスからまた再開しましょう。
スクリプトの文字を頭に浮かべるのは、極力避けること。あくまで音声を真似るのが目的だからです。文字が頭に浮かんだら、音声の抑揚やアクセントに意識を向けるといいでしょう。
2語以上飛ばすことなく追いかけられて、かつ、音声が終わってからシャドーイングを終えるまでの遅れが2秒以内に収まるようになったら、その教材は卒業です。他の英文を教材にして、また1~7のステップを始めましょう。
前述の通り、七つのステップは1週間かけて行ないますが、1日1ステップずつではなく、例えば、「1日目はステップ1~3で弱点把握と意味理解」「2日目はステップ1と4~6で英語らしい発音をつかむ」「3日目と4日目で音読とオーバーラッピングを徹底練習」「5日目以降からシャドーイングを始める」というように、組み合わせてください。ただし、ステップ1のリスニングは、聴くときの集中力を養うため、7日間、毎日行なうのがお勧めです。
1日ごとにかける時間は30分が目安。15分ずつ2回に分けて、トータル30分でもOKです。朝にリスニング、通勤中に黙読、家事中や入浴中にシャドーイングなど、上手にスキマ時間を活用しましょう。
音声の再生や繰り返しには、スマートフォンのアプリが最適です。お勧めは『Audipo』という、iOS向けもAndroid向けもある無料アプリ。指定部分の繰り返し再生や速度調整の他、スクリプトをアプリ上にコピー&ペーストして保存する機能もあります。iOS向けの『mimiCopy』は音声を波型で確認でき、PC用ソフトの『Audacity』は音声編集もできます。
良い教材が得られるウェブサイトもご紹介しましょう。
『TED』のサイトでは、様々な分野の優れたプレゼンテーションが聴けるうえ、スクリプトも掲載されていて便利です。
NHKラジオ『世界へ発信!ニュースで英語術』のサイトもお勧めです。主なニュースの和文と英文の原稿、そして音声が公開されています。
これらを使って、1週間ずつ、さまざまな英文に触れていけば、確実にレベルが上がります。
とはいえ、上達を実感する前に挫折する危険も、もちろんあります。対策としては、やはり目標を持つこと。短期的にはTOEICを目標にし、効果を実感するのがいいでしょう。
長期的には、「海外に駐在」「交渉に勝つ」など、具体的かつ大きな目標が推進力になります。
仲間を作るのも有効。同僚や友人とグループを作って、持ち回りで教材を選んで練習すれば、互いに切磋琢磨して実力を伸ばせます。
それでもつらいと感じたら、「つらいときこそ伸びている」と考えましょう。できないことができるようになる過程は、例外なく「しんどい」ものですから。
《取材・構成:林 加愛》
《『THE21』2019年2月号より》
更新:11月22日 00:05