では、どうすれば、成果あたりの投入時間を減らせるでしょうか。
そのためには、一つひとつの仕事が目的に対して合理的かどうかを考えること。
そして、非合理的な仕事を極限まで排除することが大切です。
普段、当たり前のようにやっていることも、外部の目を通して見たり、冷静に考えてみたりすると、実際には非合理的なことをたくさんしているものです。
私は今までのキャリアのなかで、多くの会社・組織に所属してきました。また、仕事のやり方も、お客様先に常駐することが多かったので、多種多様な組織を見ています。
そのなかで見てきた「非合理的な仕事」の例は、枚挙にいとまがありません。
たとえば、どこの部署にもあるのが、前任者から引き継がれてきた必要性の低い仕事。
何の疑いもなく続けているが、今ではもうやる意義がなかったり、最小限の労力で済むようなことはたくさんあるものです。
目的と照らし合わせて、非合理的な仕事を見つけるためには、まず「なくしたい仕事」をリスト化することから始めるのをおすすめします。
実現できるかどうかはともかく、「この仕事がなくせたら良いのに」という仕事を、常日頃からピックアップして、リスト化しておくのです。
特に管理部門は仕事が増えがち。私も管理部門にいたときは、大胆な「なくしたい仕事リスト」をつくって、パソコンのデスクトップに保存していました。
人は、新しいことは気軽に始めても、今までやっていたことをやめるのは意外と苦手。
このような仕事のリストをつくると、日頃から、仕事一つひとつに対して、「やらずに済ませられないか?」「将来的にはなくせないか?」という意識を持てるようになります。
もちろん、ただ、やみくもに仕事をなくせば良いかというと、そうではありません。
仕事をなくしてみたら、思わぬところで影響が出てトラブルになることもあります。
そういったことを回避するためには、「これ、なくしてみたらどうなると思う?」と人に話してみると良いでしょう。
そうすると、「実は昔、なくそうとしたんだけど……」と、思いもよらない「なくせなかった理由」が出てくるかもしれません。
その場合は、本当になくすべきかどうか、具体的に話し合えば良いでしょう。
その反対に、「考えてもみなかったよ、早速なくしてみようか」と、そのひと言がきっかけで話が進み出すことも、十分にあり得る話です。
このように、きっかけさえあれば、人は案外簡単にやめることができます。むしろ、恐れるべきは、きっかけを失くして、延々とやる必要のない仕事を続けてしまうこと。
こうした事態を回避するためにも、まずはひと言、気づきを誰かに話してみるようにしましょう。そうすれば、ただ漫然と続けるだけの日々よりも、長期的に見れば良い結果になるでしょう。
なくしたい仕事に気づくことが、生産性を上げるための第一歩なのです。
更新:12月10日 00:05