『本当は大切なのに誰も教えてくれない VUCA時代の仕事のキホン』では、VUCA時代に到来した4つの「新しい現実」に即して、必要なスキルを語っています。
1つ目のテーマは、「限られた時間で成果を出す」。
かつての日本企業では、「残業してでも、とにかく成果を出す」という風潮が一般的でした。しかし、今は残業自体が禁止され、限られた時間の中で、効率良く成果を出すことが求められています。
そこで、最小限の投資で最大の成果を出すための、「生産性」アップのスキルが必要になります。
2つ目のテーマは、「答えのない問いに答えを出す」。
一昔前までは、与えられた仕事を淡々とこなしていれば、誰にも文句は言われませんでした。しかし、今は上司も含め、誰も答えを持っていません。そんな中でも、筋のいい解答を導くための「問題解決」のスキルを身につけなければなりません。
3つ目のテーマは、「多様なメンバーをまとめる」。
メンバーの多様性が増し、さまざまな価値観が職場にあふれる現在、自分のやったことをそのまま部下に教える指導スタイルは、もはや通用しません。そんな多様なメンバーをまとめる「リーダーシップ」のスキルも、重要性を増しています。
4つ目のテーマは、「働き方の持続可能性(サステナビリティ)を高める」。
ある1つの組織の価値観を順守し、そこで定年まで働いていれば良い時代は終わりました。現代では、どんな組織、どんな環境でも働き続けられる「持続可能性」が問われています。
そこで、長く働ける自分をつくるための「自己投資」のスキルも、今後は求められるようになるでしょう。
私は、日本IBMで働くかたわら、「ホワイトカラーの生産性向上」をテーマに、発信活動をしています。具体的には、本を出版したり、経営大学院で教壇に立ったり、自分で会社を経営したり、いわゆる「複業」をしています。
その間、さまざまな世代やコミュニティの個性あふれる方々とのご縁に恵まれ、一緒に仕事をしてきました。そして、一貫した私のクセなのですが、その人たちの働き方をつぶさに観察してきました。
そんな中で気づいた、「生産性を上げる、ちょっとした働き方の工夫」についてまとめた、『99%の人がしていない たった1%の仕事のコツ』『同リーダーのコツ』『同メンタルのコツ』シリーズは、おかげさまでシリーズ140万部超のベストセラーとなりました。
もちろん今でも、その主張の軸は変わりません。
つまり、ちょっとした言い方や依頼の手順、少しの工夫だけで、生産性は劇的に向上する、ということです。
時代に遅れたくないと思っている=これからの仕事のやり方に悩んでいる方でも、決して焦る必要はありません。「ちょっとした仕事の工夫」のなかに、これからの時代を生き抜くヒントがあることを感じ取っていただき、それを実践していくこと。
そんな地に足の着いたやり方が、このVUCA時代には求められているのです。
更新:11月23日 00:05