現代社会は、「VUCA(ブーカ)時代」と呼ばれている。VUCAとは、「あらゆるものを取り巻く環境が複雑性を増し、将来の予測が困難な状態」を指す言葉で、近年ビジネスシーンでも話題になっているキーワードの1つだ。
今回は、そんな先の見えない時代に生き残るための仕事術をまとめた『本当は大切なのに誰も教えてくれない VUCA時代の仕事のキホン』を上梓した河野英太郎氏に、そもそもこのVUCA時代とは一体何なのか、改めて解説していただいた。
現代社会は、「VUCA」と呼ばれる環境に置かれています。
VUCAとは、
「Volatility」(変動性)
「Uncertainty」(不確実性)
「Complexity」(複雑性)
「Ambiguity」(曖昧性)
の頭文字を取った言葉で、あらゆるものを取り巻く環境が複雑性を増し、想定外の事象が次々と発生するため、将来の予測が困難な状態を指す言葉です。
「変化が激しい」「先が見えない」とはいつの時代も言われることですが、5~10年前に比べて、現在は明らかにVUCAの度合いが加速しています。
その理由の1つは、テクノロジーが進化するスピードが猛烈に上がっていることでしょう。その結果、世の中の仕組みやルールが目まぐるしく変わるようになり、ますます先行きが見通せなくなってきたのです。
そんな中、ビジネスシーンにおいても、このVUCAという言葉を、たびたび耳にするようになりました。
この新しい現実を前にして、今のビジネスパーソンは、主に次の2つのタイプのどちらかに分かれているように思います。
1つは、周りの変化が、単に景色になってしまっていて、自分も変化しなければならないことを自覚できていない人たち。
「今までこのやり方でうまくいったのだから、きっと大丈夫だろう」という思いが根底にあり、今も昔と同じやり方で仕事をし続けています。
しかし、こういった人は、多くの場合、新しい現実を直視していない場合も多い。心のどこかに不安があり、それゆえ、仕事のやり方を変えられずにいます。
もう1つは、変化に過剰に反応しすぎている人たち。
「環境が激変する今こそ、変革が必要だ」と声高に主張し、革新的な働き方や考え方を次々と提唱しています。
しかし、こちらはこちらで、変革を急かすあまりに本質を見失い、人々を煽るような過激な言説に走っている傾向があるように思います。
その結果、主張にも具体性や現実性を欠いていて、「視点は良いのに、もったいない」と思うこともしばしばあります。
いずれにせよ、ある種の思考停止に陥ってしまっているような気がするのです。
私自身は、このVUCA時代について、次のように考えています。
1.仕事の本質は大きく変わっていない
2.しかし、その形式は大きく変わっている
つまり、VUCA時代には、これまでの仕事の形式を刷新しつつも、地に足の着いた仕事のやり方が求められている。そして、この両者のバランスをうまく取って働けるビジネスパーソンが増えていく必要があると思っています。
更新:12月10日 00:05