2019年02月19日 公開
2023年03月10日 更新
それでも、「少しでも増えるならいいじゃないか」と考える人もいるかと思います。ただし、実は知らないうちにお金が減っている、という事態になっていることもあるのです。
金利より「物価上昇率」が上回った場合、銀行に預けているお金は価値が下落していることになるからです。
例えば年利1%の銀行預金で100万円を預金していたら、1年後には101万円なっています。ただ、物価上昇率が2%なら、100万円の物は1年後には102万円になっています。そう考えると、1年で1万円、資産価値が減少したということになります。
こんな例もあります。
新潟貯蓄銀行(新潟市、現第四銀行)が1915年(大正4年)に「超長期」にて、年間金利6%の100年定期預金を募集しました。それが2015年に満期を迎え、実に当初の300倍以上になって戻ってきたのです。
ただし、その額は、1円が339円になっていたくらいのもので、今の価値だとどちらにしても「雀の涙」。当時の初任給は小学校教員で10~20円程度でした。当時の1円は少なくとも1万円ほどの価値があったと考えれば、1円だろうと339円だろうと、結局、資産は下がってしまったわけです。
これは極端な例ですが、現在の銀行金利は0.001%なのに対し、政府の物価上昇率目標は年間2.0%、実質は1.0%前後。金利0.001%に対して物価上昇率が1%なので、今、この瞬間にも銀行に預けている資産は価値が下落していることになります。
一方、現代の方が1970年代に戻って11.9%の定期預金を見た時には、「怪しい」となるでしょう。ただ、これもまた、一面的な見方でもあるのです。
日本を出て、世界の金利事情を見てみると、”かつての日本”のような金利を付けている国は実際に存在しているからです。
これは、「株式市場」についても同様です。
日本の株式市場は、1991年までは安定して右肩上がりで推移し、1970年から1990年の20年間で日経平均は約10倍になっています。バブル期の上場企業社員の間では、自社株買いが流行ったそうです。株を買えば資産が増えるという時代でした。
一方、現代ではピークの約2分の1になっています。
もちろん、株価は上下を繰り返していますから、今でも株でお金を増やすことは可能です。ただし、「買えば上がる」という時代から、「上がるかもしれないし、下がるかもしれない」という時代になっているのです。
ただ、これもまた世界に目を向けてみると、世界平均株価は1970年代から現代まで継続的に右肩上がりです。”かつての日本”のような新興国が世界の経済を押し上げているのです。
私が言いたいのは、「金利が高い国にお金を置きましょう」という話ではありません。「右向け右」「みんながやってるなら私も」など、誰もがやっているからといって自分も同じことをしたところで、お金が増える時代ではない、ということです。
結局、大事なのは「私産」を増やし、自分の収入や支出を把握したうえで、長期の視点に立って計画的にお金を増やしていくということです。
ただし、それには時間もかかりますし、継続的な勉強も必要。「大変そうだな」と思う人が多いのではないでしょうか。
そこで、投資初心者の方にお勧めしたいのが、「信頼できる専門家を見つけ、その真似をする」ということ。一番いけないのは「自己流」で運用をしようとすること。世の中には書籍やインターネットの情報があふれていますが、それを断片的にかじったところで、うまくいきません。軌道に乗るまではまず、誰か特定の信頼できる専門家を見つけ、その人の真似をしながら投資をするのが、最も再現性が高く、ストレスなく資産を増やすことができます。
もうひとつ注意してほしいのが、「無理に節約して投資しない」ということ。私産運用は長い時間をかけて行っていくものですから、何より大事なのは習慣化。それがストレスになってしまっては続きません。
「自己流でやる」と同じくらいの大きな罠がもう1つあります「無理に節約して投資する」です。無理なダイエットが続かないのと同じように、無理な節約は長続きせず、途中で嫌になってしまいます。私産運用は習慣にしてゆくものですので、ストレスがない範囲で行なう必要があるのです。
長期的に時間をかけて取り組んでいきましょう。
更新:11月22日 00:05