ここからは、気分良く働くために、心地良い職場を作る方法を考えていきたいと思います。
ヒントは、ダニエル・キムの成功循環モデルにあります。
組織の成功をもたらすには、「関係の質」を高めることが、「結果の質」を上げることにつながるという考え方です。
もう少し詳しく説明すると、部署内や仕事関係者同士がお互いに理解を深め、尊重しあうことで、交流が生まれます。何事も一緒に考える関係性が生まれ、優れたアイデアや気づきが生まれやすくなる。つまり、「思考の質」が向上します。
それにより効率化された仕事の仕方をするようになり「行動の質」が向上する。すると、「結果の質」が向上し、成果が得られ、信頼関係が高まり、「関係の質」がさらに向上するという好循環モデルです。
ハイパフォーマーと呼ばれるビジネスパーソンほど、目に見える成果よりもまず人間関係に配慮しています。意外かもしれませんが、本当の意味で成果志向性が高い人の多くは、他人を押しのけてでも一番を目指すようなことはしないものです。
なぜなら、彼らは一時的にハイスコアを取るのではなく、一定レベル以上の成果をコンスタントに上げ続けることを目指しているからです。そして、成果を上げ続けるには、周囲の協力や仕事をしやすい環境作りが欠かせないことをわかっています。ですから、サポートメンバーに感謝を伝えるなど、人間関係のケアを怠らないのです。
環境を整えれば、最小限の労力で生産性が上がりやすくなり、ハイパフォーマーになれる可能性は高まります。少なくとも、自分の周りに不機嫌な人は減るはずですから、仕事へのストレスはグッと減るはずです。
ただ、他人の機嫌には敏感でも、自分の感情には気づきにくいのが人間です。自分が不機嫌な職場の元凶になっている可能性もあります。それを防ぐには、「360度フィードバック」という制度をお勧めします。
人の指摘があって初めて、気づくことは多いもの。かといって、上司に「今日も口角が下がってますね」とは口が裂けても言えないでしょう。
「360度フィードバック」とまではいかなくとも、例えば私がコンサルティングをしたある企業の職場で導入しているのが、「不機嫌な人に鏡を渡す」という取り組みを行なったことがあります。
鏡を渡された人は1週間、机に鏡を置いて仕事する。その後、今度はその人から見て不機嫌そうに見えた人に鏡を渡す。こうしたちょっとしたことが大きな効果を生むことがあります。
こうすることで、自分の不機嫌に気づくだけでなく、鏡を渡す際にコミュニケーションが生まれます。「え、そんな顔してた?」「もともと、こういう顔なんだよ!」といった具合に、笑いが起こったのです。
日頃のちょっとした感謝を伝える「サンクスカード」もお勧めです。直接手渡してもいいし、後日朝会で発表するという形式でもいいでしょう。
まずは、自分の身近なところから実践してみてください。
更新:12月04日 00:05