話をまとめられなかったり、長くなってしまう人は「時系列」で語りがちです。例えば、「帰り際に上司に仕事を頼まれ、遅くまで残業することになって、ヘトヘトになって家に帰ったら、今日は記念日で奥さんがカンカンに怒っていてご飯を食べられなかった」と出来事をツラツラと順序立てて話そうとします。
当人の中ではロジックが成り立っているのですが、この話し方では聞いているほうは、上司の愚痴かと思えば、残業疲れの話になり、話がどこにたどりつくか見えないので、何が言いたいのかわからなくなってしまいます。
言いたいことは、「奥さんが怒っていてご飯を食べられなかった」こと。だったら、「昨日、夕飯食べ損ねてさ」などと、その部分を最初に言えばいいのです。すると、相手は「どうして?」と聞いてくるはずですから、そこで上司や残業の話を加えます。自分の頭の中で組み立てているストーリーは、相手には見えません。最初に結論を言って興味を引くことで続きも聞いてもらえます。
また、細かい情報をたくさん詰め込むと、「長い話だった」という印象しか相手に残りません。ですから、あまり詰め込まず「1トピックに1エピソード」と心得、短く区切って話をするといいでしょう。
また、話好きでついつい自分の話ばかりしてしまうという人もいます。相手も楽しんでいれば丸く収まるのですが、退屈させているケースが少なくありません。あなたが長々と話をしているとき、相手の表情やリアクションはどうですか?あまり意識したことがないという人は要注意です。
会話は相手のことを知る絶好のチャンス。話しすぎると感じた人は、自分が話す量を会話全体の半分以下に抑えることを意識すると、相手との関係性にもよい波及効果があるはずです。
「君の話はメリハリがない」と言われると、なるべくテンションを上げて話してみたり、表情に変化をつけてみたりして、必死にメリハリをつけようとする人がいますが、これはあまり効果がありません。むしろ、テンションが高すぎる人に接すると居心地の悪さを感じることが多いので、やりすぎには要注意です。
話のメリハリは、話し方のテンションではなく「心理的ギャップ」から生まれます。簡単に言うと、起承転結です。メリハリがないのは、例えば、「取引先に大型案件の提案に行くことになって、関連部署に承諾をもらいに行ったら、これはイケる!と皆こぞって応援してくれて、商談当日、取締役の面々にプレゼンしたら、めちゃくちゃ気に入られて契約が取れた!」という話し方。「俺、すごい!」の一本調子で単調なのです。
一方、心理的ギャップを入れるとこうなります。「取引先に大型案件の提案に行くことになって、社内の関連部署に承諾をもらいに行ったら大反対されて、何度も社内交渉に行くハメに。ようやく商談当日に間に合わせて、取締役の面々を前にプレゼンしたら、めちゃくちゃ気に入られて契約が取れた!」。
山あり、谷ありで、ちょっとしたストーリー仕立てになっていますよね。谷の部分では、話のアクセントとして、少し盛り気味に「大変だったアピール」をするのもアリ。次に気持ちが上がるときとのギャップが際立ちます。
このとき、オチは「大型契約が取れた!」という部分で、「思わぬ大反対にあったり、社内交渉に何度も足を運んだ」くだりはフリにあたります。芸人ならばフリの部分を引っ張って効果的に盛り上げますが、普通の人は、基本的にはフリは短いほうが話のテンポが良くなります。オチをなるべく早く言うようにし、オチの回数を増やすようにしましょう。
更新:12月10日 00:05