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「構造」を意識して読めば、文章を書く力が身につく

2018年11月06日 公開
2023年03月14日 更新

渋谷和宏(『日経ビジネスアソシエ』創刊編集長/経済ジャーナリスト)

書かずに文章力がつく本の読み方とは?

 なぜ、本の読み方ではなく、文の順番から説明したのか。

 それは、「構造を意識しながら読む」視点が、この記事で紹介する読書術の基本だからです。文の仕組みを分析して読む習慣が身につけば、自ずと良い文章の構造を意識して書けるようになります。

 文章は書かなければ上達しないという意見もありますが、闇雲に書いても上達しません。俯瞰的に読みこなす力があってこそ、良い文章が書けるようになるのです。

 文章上達の第一歩は、リーダーとしての文とフォロワーとしての文に注目して読むこと。常に小段落の文頭を意識してください。まずは、これだけです。

 慣れてくれば、文章を書くときもその基本ルールを守ろうとしている自分に気づくはずです。

 応用編として、リーダーとしての文を隠し、フォロワーとしての文からリーダーとしての文を推測するという読み方もお勧めしています(参考1)。

 フォロワーとしての文から「何が言えるのか」「何が言いたいのか」を推測し、リーダーとしての文は何かを考えることで、正しい文の順番や構成力を身につけるだけでなく、表現力も磨くことができるのです。 

 ただ、書き手と同じ一文を予想しなければいけないわけではありません。リーダーとしての文には、書き手の個性や価値観が強く表れるからです。

 むしろ、フォロワーとしての文から独自の切り口を考える訓練を積むことで、オリジナリティー溢れる魅力的な書き出しを生み出せるようになるはずです。

 こうした基本ルールを踏まえ、次はリーダーとしての文を抽出し、それをつなげて全体の文章を読んでみましょう。文章全体の骨格(スケルトン)が見えてくるはずです。全体のメッセージがより明確になるため、文章の本質を深く理解できます。

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著者紹介

渋谷和宏(しぶや・かずひろ)

作家・経済ジャーナリスト、大正大学表現学部客員教授

1959年横浜市生まれ。1984年日経BP社に入社。日経ビジネス記者として取材、執筆を行う。1998年同誌副編集長、2002年日経ビジネスアソシエを創刊し初代編集長を務め、2006年4月18日号では10万部を突破する。日経ビジネス発行人などを務めた後、2014年3月末、日経BP社を退職、独立。現在は作家、TVコメンテーター、ラジオパーソナリティーなど幅広く活躍している。
主な著書に長編ミステリーの『銹色(さびいろ)の警鐘』(中央公論新社)『罪人(とがびと)の愛』(幻冬舎)、ノンフィクションの『稲盛和夫 独占に挑む』(日本経済新聞出版社)など(以上、渋沢和樹の筆名)。主な出演番組は『シューイチ』(日本テレビ)『森本毅郎・スタンバイ!』(TBSラジオ)『まるわかり!日曜ニュース深堀り』(BS-TBS)『渋谷和宏・ヒント』(TBSラジオ)など。趣味はランニングと大衆酒場めぐり。

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