2018年09月15日 公開
2022年12月21日 更新
「会社を辞める」ことを勧める理由は、もう一つあります。今のうちに退職金をもらわないと、損をするからです。
そもそも退職金とは、戦後まもなく、社員に十分な給料が払えなかったために、「後で払うから」と支払いを先延ばしした制度。できるだけ長く働いてもらうために、退職金に対する課税では、勤続20年未満と20年以上では控除額が違います。20年未満では年40万円、20年以降は年70万円の所得控除があるのです。しかし、今年になってこの制度の見直しが検討されています。国も、終身雇用から転職支援へと制度を変えるのです。
さらに、インフレ局面に入れば退職金の金額がインフレに対応して上がらない限り、退職金の価値は目減りしてしまいます。そう考えると、損をしないためには今もらったほうが得。早期退職制度があるなら、多額の退職金をもらえるはずです。そのお金をもらい、金融商品で運用すれば、比較的リスクの低いものを選んでも、60歳までにまとまった金額が作れるでしょう。
しかし、こういっても、「やはり今の会社を辞める勇気はない」という人は多いかもしれません。子供の教育費がかかり、住宅ローンも抱えているとなれば、そう思う気持ちも理解できます。
そこで、次回はもう一つの「会社を辞めない」という選択肢についてお話ししましょう。
『THE21』2018年6月号
取材構成 杉山直隆
写真撮影 永井 浩
更新:11月23日 00:05