2018年06月29日 公開
2022年10月25日 更新
――そもそも、Peatixはどういう経緯で始めたサービスなのでしょうか?
岩井 サービスを立ち上げては失敗する、ということを創業してから2回やっていて、Peatixは3つ目のサービスです。まさに、3度目の正直です(笑)。
きっかけは、あるインディーズバンドからの相談でした。当時は、ライブの音源を配信したりする、音楽系のサービスをやっていたんです。
その相談というのは、急にライブをすることになって、1週間でチケットを売らないといけない。紙のチケットを手売りしていてはとても間に合わないので、どうにかできないか、というものでした。
そこで、自前のECサイトを作り変えて、チケットを売ることにしました。注文完了のメールをチケットとして使ってもらったのです。
ライブ当日は私も現場に行ったのですが、そもそもチケット代わりのメールが本物かどうかもわからないし、解決すべき課題が非常に多いことを実感しました。
米国のサービスの日本進出のお手伝いもしていたので、こうした課題を解決するサービスが米国にはないのだろうかと調べてみると、ちゃんとあったんです。それで、「それなら日本でもできるはずだ」と考えたのが、Peatixの始まりです。
――創業当初は、別の事業をしていたのですね。
岩井 創業メンバーは、皆、アマゾンジャパンの出身で、インターネットを使ったビジネスで成功した体験を持っていました。それで、自分たちでもインターネットの事業を興したいと思って、起業したのです。初めは失敗ばかりでしたが(笑)。
ただ、これからは「モノ」ではなく「コト」の時代になるということは、当初から思っていました。音楽ライブに関する事業をしていたのも、そのためです。なにしろ、アマゾンジャパンで家電を扱っていた私ですら、もう長らく家電を買っていませんから(笑)。
――立ち上げてから、すぐに軌道に乗りましたか?
岩井 サービス開始の直前に東日本大震災が起こり、復興関連や、生き方や人のつながりを考え直すイベントが数多く生まれていました。Peatixも、そのようなイベントのサポートに行ったりしましたね。サービス開始直後は、そのような状況でした。
――これからの展開としては、どのようなことを考えていますか?
岩井 先ほどお話ししたように、集客支援を求める声が高まっているので、今はそれを磨き込むフェーズだと思っています。
特に、アプリでイベントをおすすめする機能を強化して、「『何か面白いことがないかな』と思ったらPeatixのアプリを見る」という「イベントディスカバリーアプリ」にしていきたい。見ているだけで面白いものにしたいですね。
イベントというと、若い人が集まるものというイメージを持っている人もいるかもしれませんが、教養を深めるものなど、私と同世代の団塊ジュニアが楽しめるイベントも多くあります。実際、私も、仕事帰りに参加したイベントで、人生観が変わるような体験をしたことがあります。
忙しい団塊ジュニア世代は、ともすれば職場と自宅の往復だけになってしまいがちです。そんな人に、Peatixのアプリを使って、サードプレイスを見つけていただきたい。イベントのために、普段は降りない駅に降りるだけでも、発見が多いですよ。サードプレイスで会社や家庭以外の人と交流を持つことは、人生を豊かにします。
世の中のトレンドは、「オフラインからオンラインへ」なのかもしれません。しかし、オンラインからオフラインに人を引き出したい。当社はインターネット企業ですが、そう願っています。
《写真撮影:まるやゆういち》
更新:11月25日 00:05