2018年06月01日 公開
2023年05月17日 更新
〈4 関係の変化〉
名前を知らないご近所さんだったけれど、毎朝挨拶をしているうちに、少しずつ打ちとけていく、なんてことがありますね。
挨拶をしただけでもそうなのですから、会話をしたら、会話の前と後とでは関係がもっと大きく変化します。
初対面の人と挨拶して会話するとすれば、見知らぬ関係から、初対面の挨拶を交わした関係へと変化します。会話を重ねるにつれて、距離が縮まり、やがてなんでも言い合える関係になるということもあります。ビジネスにおいては、より協力し合える関係を構築するためにミーティングを重ねていきます。
会話によって、大なり小なり、お互いの関係に変化が生まれます。
ですから、会話する相手との関係にどんな変化を起こしたいかということも、会話の目的の1つです。
〈5 気分の変化〉
会話をする前と後とでは、「感情」「思考」「行動」「関係」においてなんらかの変化が起こります。
これらが私たちのエネルギー、つまり「気」の状態に変化を起こします。それが、気分の変化です。感情や思考、行動、関係が変わることで、落ち込んでいた人が元気になることもあれば、元気だった人がしょんぼりしてしまうこともあります。
たとえば、ボーナスの査定面談で、上司と部下が話しているとしましょう。部下は、今回は頑張ったからボーナスもいいのではないかと思っているとします。
ところが上司から聞かされたのは、今期は全社的に業績不振で、その数字が個人業績にも反映されるという事実。
「君の頑張りはわかる。だから点数はこんなに高い。ところが全社業績の係数を掛けると、このような金額になる」
その数字を見て、部下は予想が裏切られてがっかりする。結果として気分が下がる。
このようなシーンはよくあることですね。極端な例かもしれませんが、すべての会話において、会話の前と後では気分に変化が見られます。
会話をすることによってあらゆる要素に変化が起こり、結果としてそれらが総合されて、相手と自分に気分の変化がもたらされるのです。総合的な気分の変化を生むということが、会話の大きな目的だといえます。
会話の目的は、「感情」「思考」「行動」「関係」に変化をもたらすこと、とお話してきました。それらの変化は、総合されて「気分」の変化として感じ取ることができます。
最終的には、どんな気分の変化をもたらしたいのか、が会話の目的だともいえるわけです。
逆に、「気分」も、「感情」「思考」「行動」「関係」に影響を与えます。
気分が下がりっぱなしだったり、不安定でムラがあったりすると、その他の4つの要素が下がったり不安定になったりしますが、逆に気分をうまくコントロールできれば、他の4つの要素にもよい変化を起こすことができるのです。
つまり、気分を変えることで、会話の質を変えることができます。
会話の目的が気分の変化であるならば、言いにくいことが言えずに終わるような気分を目的としてはいけません。
言いにくいことがハッキリ言えて、なおかつ気まずくならず、嫌われず、むしろ好かれるような気分を目的にすればいいのです。
そのような気分を醸し出すことができれば、あなたの言いたいことや言わなければいけないことを、スムーズに相手に伝えることができます。
更新:11月22日 00:05