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【対談 河合薫×中原淳】なぜ、「残念な職場」は生まれるのか?

2018年06月01日 公開
2018年06月05日 更新

河合薫(健康社会学者)/中原淳(立教大学教授)

あなたの中にも「ジジイ」はいる!?

河合氏は、「年齢や性別に関係なく、誰でもジジイになる可能性がある」という。自分がジジイにならないためには、どうしたらよいか。

河合 最近の自分の失敗を、同僚や年下の人に話すよう、心がけることをお勧めします。保身ばかり考えるジジイは、自分の評価が下がることを恐れるので、絶対に自分の失敗を人に話しませんからね。
年下の人に自分の失敗を話していると、謙虚になれますし、相手との心の距離が縮まります。すると、尊敬されなくなるどころか、慕ってもらえるようになるでしょう。「それはこうしたほうがいいと思いますよ」などとアドバイスされると面倒に感じるかもしれませんが、それも、自分の糧になります。

中原 自分がジジイかどうかは、自分じゃわからないと思うのです。だから、時折、自分がジジイになっていないか、周りの人にたずねて、フィードバックを受けたほうが良いでしょうね。また、スターウォーズのフォースじゃありませんが、自分にも暗黒面があるということを意識したほうが良いと思いますね。

河合 1億3,000万人の日本人のうち、自分をジジイと思っている人は一人もいません(笑)。自覚がないのが怖いところ。自分がジジイになっていないか、この機会に振り返ってみてほしいと思います。


 

「ジジイ」と「働かないおじさん」とは?

本文中に登場するこの二つの概念、実は似ているようで少し異なる。

☆ジジイ……変化を嫌い、自分の保身だけを考え、「会社のため」「君のため」と言いながら、「自分のため」に手に入れた既得権益にしがみつく人々。属性で人を判断し、「下」の人には高圧的な態度をとる。年輩の男性とは限らず、女性にも若者にもいるが、職場ヒエラルキーの上層が中年以上の男性で占められているので、便宜上こう呼ばれる。(河合薫著『残念な職場』参照)

☆働かないおじさん……年功序列・終身雇用を前提とした雇用体系の中では、45歳くらいを境に、生産性よりも多く賃金をもらえる(働かなくても高い賃金が保証される)時期が来る。この段階で組織にしがみつき、給料に見合った働き方をしなくなるおじさんのこと。
(中原淳著『フィードバック入門』参照)

 

《『THE21』2018年7月号より》

 

著者紹介

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者

東京大学大学院医学系博士課程修了(Ph.D)。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸㈱に入社。気象予報士として、テレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院に進学し、現在に至る産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークし、その数は600人に迫る。長岡技術科学大学、東京大学、早稲田大学などで非常勤講師を歴任。早大感性領域研究所研究員。最新著書『考える力を鍛える「穴あけ」勉強法』(草思社)。『モーニングCROSS』(TOKYO MX)、『情報ライブ ミヤネ屋』(YTV系)にコメンテーターとして出演中。

中原 淳(なかはら・じゅん)

立教大学経営学部教授

1975年、北海道生まれ。東京大学卒業、大阪大学大学院修了、メディア教育開発センター(現・放送大学)助手、米国・MIT客員研究員、東京大学講師、准教授等を経て、2018年4月より現職。「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織の人材開発、組織開発について研究している。著書に、『フィードバック入門』『実践!フィードバック』(以上、PHP研究所)など多数。

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