2018年06月01日 公開
旅先で、神社仏閣を訪れる人は多いだろう。
ガイドブックに「国宝」があるなんて書かれていたら尚更。
ただ、だからといって、訪れる神社仏閣の成り立や歴史ならまだしも、そこにある文化財のことまでは下調べをしないことのほうが多い。とりあえず行ってみて、なんとなく絵画や彫刻を見て、説明文を読んで分かったような気になって帰ってくる。
まぁ当然のように、なんか凄いんだなぁというふわっとした印象だけしか残っていないことも多々ある。
……という、(私のことでもあるのだが)残念な訪問者にぜひ読んでほしい1冊。
「考古資料・工芸品」「絵画」「彫刻」「建造物・歴史資料」の各分野で代表的な国宝93件を紹介。その文化財自体の解説に加え、見どころや歴史背景など、イラストで完結にまとめてある(だから、美術や芸術の知識が浅くても楽しめる!)。
写真でないことに賛否両論もあるかもしれないが、私は、イラストだからこそ、より想像力が働くし、興味を持ったら自分でも調べてみよう、実際に見に行きたい!――という良い連鎖になっているような気がする。
各文化財の紹介の他、国宝はどのくらいあるのか(現在、計1,110件)、誰がどのようにどのくらいの頻度で決めているのか(選定は年1回。選定方法は少々長いので割愛。ぜひ本をご参考に)などの基礎知識から、最大の国宝・最小の国宝などのデータまで、ちょっと気になる部分も解説する。
個人的には、『鳥獣人物戯画』を観に行きたい。
丁巻(鎌倉時代作)に、甲巻(平安時代末期作)をパロディした絵があるらしい。見つけてニマニマしたい。
旅行の予定がある土地の国宝を探すもよし、それを目的に旅をするのもよし。
頭の中で思い描いていたものを実際に目にしたとき、それはより鮮明な記憶として残ると思う(だから私は、本や雑誌で終わるのでなく、モノでも場所でも実際に観に行ってほしいなぁと思う)。
夏の旅のお供に、いかがだろうか。
執筆:K
更新:11月22日 00:05