2017年10月24日 公開
2023年03月23日 更新
男性更年期は、女性と違い「全員がなるもの」ではありません。女性の更年期は閉経前後の10年間を指し、この期間の急激な女性ホルモン減少は、遺伝子にプログラムされた既定の現象です。対して、男性のテストステロン低下は女性よりゆるやかで、落ち方にも個人差があるため、症状が起きる人と、起きない人が出てくるのです。
では、症状が出やすい人はどういう人か。簡単に言えば「毎日の生活が面白くない人」です。
バリバリ仕事をして成果を出したり、自分の楽しみを満喫したりして充実感や自信を保持できていれば、テストステロンは下がりません。しかし現実には、今の世の中にはテストステロンを下げる要素が多々あります。たとえば昨今の会社組織は、昔のように職階が明確ではありません。昔ならば「長」のつくポジションがたくさんあり、出世に応じて椅子も立派になるなど、わかりやすい指標がありました。こうして「立ててもらう」ことで、男性は自信ややる気を保持できたのです。
しかし今、その機会はどんどん減りつつあります。だからこそ、自分自身でテストステロンを上げ、やる気を維持する工夫が必要です。
「更年期かもしれない」と思ったら、泌尿器科を受診して、男性ホルモンの値を調べてもらうことで診断できます。診断の結果、男性ホルモン補充などの医学的措置が必要になるケースはさほど多くなく、ほとんどは「テストステロンが上がる生活」をすれば解決します。
最も簡単な対処法は、筋トレです。筋肉量が増加すると、テストステロンの分泌量が上がります。
また、趣味を持つことも効果的です。テニス、ゴルフなどのスポーツやバンド活動など、好きなことを「仲間と一緒に」行ないましょう。集団に対する愛情や帰属意識は、テストステロンを大いに高めます。
同じスポーツでも、親しくない相手、とくに「立てなくてはいけない相手」と行なうのは禁物。褒められ、認められてこそ、テストステロンは上がります。
その意味では、キャバクラやクラブなどで女性にもてはやしてもらうのは即効性抜群の方法。企業がクラブ接待を経費で落とすのは、ちゃんと理由があるのです。
では、職場でも女性と大いに交流を──というわけにいかないのは当然のこと。オフィスでホルモン活性化を図るなら、仕事を「長期的に見通す」のが得策。目の前のタスクに忙殺されず、客観的・俯瞰的視点を持つことで余裕を取り戻しましょう。許される範囲でフラリと外に出て「サボる」のもいい手です。
大事なポイントは「居場所の獲得」です。ここなら羽根を伸ばせる、と思える拠点や時間を持つことが肝要です。仲間とそういう場を共有するとき、必ずしも「リーダー」になる必要はありません。サブリーダーであれ和ませ役であれ、自分らしいキャラクターが確立されていて、それを自他ともに認められていれば、テストステロン対策は万全です。
こうした場を持つ工夫は、早いうちから始めてください。習慣にせよ趣味にせよ仲間にせよ、50代になると新たに得るのは難しくなるもの。40代から積極的に男性ホルモンの低下を防ぐ「ホル活」を開始し、健康的なやる気を保っていただきたいと思います。
《『THE21』2017年10月号》
更新:11月23日 00:05