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「団塊ジュニア世代」が抱える閉塞感の正体とは?

2017年10月01日 公開

城 繁幸(人事コンサルタント)

ステレオタイプの幸せを捨てる勇気を持とう

 年功序列の後払いシステムは崩壊し、40代の平均年収は年々下がり続けている。昇進も昇給も望めない中で、40代はどんなお金とのつきあい方をしていけばいいのだろうか。

「自分は40代だから、年収はいくらで、こんな家に住んでいなければならない……といった見栄をまず捨てることです。年収アップが期待できない以上、それに応じたライフプランを立てなくてはならないでしょう。

 また、専業主婦の家庭は、奥さんに働いてもらうことも考えるべき。今なら週1日から働くことも可能ですし、どこも人手不足ですから、働き口はいくらでも見つかるはずです」

「柔軟性」という面では、以前より確実に進歩しているという。

「今では外資系や新興企業、中小零細企業など、非年功序列型の企業を選べば、年齢にかかわらずいくらでも転職できます。こうした企業は常に人材不足です。もし、現在の閉塞感に耐えられないのなら、転職を考えるのも一つの手です。ただ、そのためには、自分の強みを磨いておく必要があります。そう言うと、「自分には専門性がない」と嘆く人が多いですが、複数の職歴をミックスして強みとすることもできます。たとえば私は人事として採用と労務管理、さらにはリストラにも携わるなど、一通りの経験を持っており、大きな強みになりました。その道一筋という人はもちろんそれでよいのですが、引き出しがいくつもある人のほうが幅は広いものです。それは、転職をしない場合でも言えることです。強みがわからない人は、転職するかは別にして、転職会社に登録してみてはどうでしょうか。自身の市場価値を客観的に知ることができます」

 厳しい時代だが、前向きであれば道は開けるという。

「そもそも、終身雇用で働き口が保証されることが、本当にいいのか。60歳を過ぎ、会社に与えられた仕事を嫌々こなすのは楽しいことではないはず。しかも、今の40代は年金支給開始年齢が70歳まで引き上げられている可能性が高い。40代は、人生の折り返し地点。将来のお金やキャリアをしっかり見直し、後半戦の戦略を立てるべきでしょう」

 

取材構成 吉川ゆこ

 

『THE21』2017年9月号より

著者紹介

城 繁幸(じょう・しげゆき)

人事コンサルタント

1973年山口県生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通に入社。2004年に独立。人事コンサルティング「Joe's Labo」代表取締役を務める。雇用問題のスペシャリストとして、「若者の視点」を取り入れた独自の主張を展開。著書に『若者はなぜ3年で辞めるのか?』(光文社新書)、『7割は課長にさえなれません』(PHP新書)など。

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