2011年11月19日 公開
2024年12月16日 更新
Q:各社の急成長=高利益の秘密は?
A: とくにモバゲーとグリーの2つが急成長しているのは、ソーシャルゲームで高収益を挙げていることが大きい。
ソーシャルゲームは大きくいって、プラットフォームが自社開発するものと、別会社と共同開発するもの、そしてコンテンツの製作会社が製作するもの(サードパーティ開発)の3つに分類できる。自社で開発したゲームならば、そのゲームによる収益がそのままプラットフォームの利益になり、コンテンツ製作会社が開発したゲームの場合は、収益のうち約 30%を手数料としてプラットフォームが得るというのが、基本的なしくみになっている。
ゲームを提供する側が支払う手数料が30%というのは高いように思えるが、すでに多数のユーザーがいるプラットフォームにゲームを公開できれば、集客やサイトの運営などのコストやリスクを負わずに収益を挙げられる。コンテンツ事業者にもメリットは大きいのだ。
また、多くの場合、あるSNSに向けて開発したゲームは、ほかのSNSにも移植しやすいプログラムになっていること、1作品当たりの製作期間が長くても半年程度と、家庭用ゲームに比べて短く、開発費用があまりかからないことも、高収益の理由と考えられる。
Q:各社のターゲットに違いはある?
A: 同じSNSであっても、ユーザー層は各社で異なっている。男女比でいえば、モバゲーは男性と女性の割合が57%と43%、グリーは52%と48%、ミクシィは44%と56%となっており、モバゲーは男性、ミクシィは女性が多く、グリーはおおむね半々という違いがある。
また年齢でいうと、モバゲーは10代のユーザーが22%、20代が40%、30代以上が38%、グリーは10代が21%、20代が33%、30代以上が46%、ミクシィは10代が15%、20代が65%、30代以上が20%となっている。モバゲーは10代、20代の若者層に、ミクシィは20代にとくに人気があり、グリーは30代以上の大人のユーザーに支持されていることがわかる。
Q:各社はどんな戦略を取っている?
A: ターゲットが違えば、強みや戦略にも当然違いが出てくる。
ミクシィは、SNS内でもリアルの友人関係がベースになっているという点で、ほかの2社と異なっている。したがってソーシャルゲームについても、これまでは友人関係に影響を与えるようなゲーム性の高いものはあまり歓迎されなかった。しかし最近では、「マイミク」にかぎらないパブリックな交流も可能になっていて、ゲーム性の高いものも解禁になっている。
グリーとモバゲーはターゲットが近い競合同士。当初、モバゲーは一般的なゲームをメインに提供しており、ソーシャルゲームへの参入はグリーより後発だった。そこでライバルを迫撃するべく、自社製作のものだけでなくコンテンツメーカーの作品を採用するオープン化を行ない、タイトルの多様化に力を入れている。
一方グリーは、自社開発のゲームが好調だったが、モバゲーの動きに危機感を覚えたのか、モハゲー同様に他社製作のゲームを採用するオープン化を行なった、という経緯がある。
ところが現在、モバゲーは、『怪盗ロワイヤル』などの自社製作のヒット作があるため、外部のコンテンツメーカーに対する支援が薄くなっているという。一方、オープン化が遅れたグリーは支援が厚いという評判だ。その結果、当初とは逆に、モバゲーは自社タイトルが中心で、グリーは他社タイトルが中心という逆転現象が起きている。
とはいえ、〔株〕ディー・エヌ・エーは最近、〔株〕バンダイナムコゲームスと合弁会社をつくるなど、他社タイトルの充実にも力を入れ始めている。両社とも、自社タイトル、他社タイトルともにバランスを取りたい考えのようだ。
Q:ソーシャルゲームのどんなところにハマる?
A: ソーシャルゲームの特徴であるコミュニケーションや競争の要素が、そのままファンを増やす要素になっている。
たとえばミクシィの『サンシャイン牧場』というゲームでは、マイミクの牧場に害虫を入れたり、逆に駆除してあげたり、作物のおすそわけをもらったりする、といったコミュニケーションができるようになっている。ゲームの内容自体ではなく、それを通じた交流が目的になっているのだ。そのため、ユーザーは仲間を増やし、その人たちとコミュニケーションするために、繰り返しログインするというわけだ。
それ以外にも、1日1回ログインすることでアイテムがもらえたり、ゲーム内の作物をしばらく放っておくと枯れてしまったり、また、ある種類のアイテムをぜんぶ集めると、レアアイテムがもらえたりする、などといったさまざまな仕掛けがあるため、ユーザーはついソーシャルゲームをやり続けてしまうのだ。
また、ほとんどのゲームが携帯電話でプレイできるため、ちょっとした空き時間など、いつでもどこでも利用できるのも、支持されている理由だろう。
Q:ソーシャルゲームはこれからどう進化していく?
A: コナミ〔株〕2011年4~6月期連結決算で、家庭用ゲーム機向けのソフトの売上高は、前年同期比ほぼ半減の77億円だった。一方、ソーシャルゲームの売上高は、前年の3倍を超える78億円となった(コナミ〔株〕ホームページのIR資料による)。つまり、家庭用ゲーム機向けソフトの売上げを、ソーシャルゲームの売上げが上回ったのだ。これはコナミだけの話ではなく、ゲームソフト業界全体に共通した傾向だという。
ソーシャルゲームの今後の成長に期待して、各社がさらに力を入れていくことは間違いない。家庭用ゲーム機向けソフトの人気タイトルのソーシャルゲーム化も相次ぐだろう。それにつれて、ユーザーがソーシャルゲームにかける時間もさらに伸びていくと予想される。
家庭用ゲームの人気タイトル「レイトン教授」シリーズも、「レイトン教授ロワイヤル」としてモバゲーでソーシャルゲーム化 ▲
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自ら怪盗となって、与えられたミッションをこなしていくゲーム。キャラクターは「肉体派」「頭脳派」「セクシー派」の3種類から選ぶ。ミッションをこなすことでゲーム内の通貨を得ることができ、それで強い武器などが購入可能。ミッションでは時折お宝が手に入り、ほかのユーザーにバトルを仕掛けてお宝を奪うこともできる。仲間をつくって、アイテムやお宝をプレゼントし合い、協力プレイをすることもできる。
テレビCMでも有名になった本作。世界中のお宝コレクションをコンプリートするのが目標
(画像提供:〔株〕ディー・エヌ・エー)
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忙しくて、好きな釣りになかなかいけないという人も、これならストレス解消できるのでは
(画像提供:〔株〕グリー)
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『サンシャイン牧場』は、中国のゲーム開発会社Rekooが開発・運営。世界中で1,500万人がプレイしているという
(画像提供:RekooJapan〔株〕)
更新:12月22日 00:05