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アイデアは「記憶の複合」で生まれる!

2017年07月27日 公開

おちまさと(プロデューサー)

 

未来を予測して記憶するものを選ぶ

 精密な記憶から生まれるおち氏のアイデアは、エンタテインメントにとどまらず、企業ブランディングや社会問題の解決にも及んでいる。

「最近では、保育園の会社のブランディングや園自体の総合プロデュースに携わっています。これまでの保育園のイメージを覆す外観や内装をはじめ、地域の方との交流の場や保育士の地位向上に向けてオリジナルウエアを考えたりと、近年の保育園が抱える問題も解決できるような工夫をしています。

 これはまさに『記憶の複合』でできたものでもあります。園舎というハードの部分は海外で見たスタイリッシュな建物を参考にしつつ、ソフト面で日本の保育園の課題に踏み込んだり、あえて自然の中にネット環境や映像などを意識した『振り幅』のある保育園を作りました」

 そして、このような新しいものを生み出すには、未来を予測することが何より大切と語る。

「先ほど『覚えておこう』と思ったものを積極的に記憶したほうがいいというお話をしましたが、人間の脳には許容量があって、すべてを記憶したいと思ってもできるものではありません。ではどのように覚えるものを選ぶのかというと、今の社会の状況を俯瞰して見て、未来を予測し、未来のために何が必要な情報なのか考えることです。そうすることで、『覚えるべきもの』『覚えなくてもいいもの』を選べるはずです」

 その認識があれば、日々の行動も変わっていくだろうとおち氏は言う。

「たとえば、ビジネスマンが語学を学ぶ必要性。企業の英語公用語化を例に挙げるまでもなく、その重要性は明らかです。今後、移民もさらに増え、海外の在宅ワーカーとも雇用を奪い合うことになるかもしれません。それを踏まえて、今日、何をするか。流れを見れば未来がわかって、今すべきことも見えてくる。記憶は、その人の行動を変革していくものでもあるのです」

≪取材・構成:林 加愛 写真撮影:まるやゆういち≫
≪『THE21』2017年7月号より≫

著者紹介

おちまさと(おち・まさと)

プロデューサー

1965年、東京都生まれ。東京スカイツリーソラマチ室内遊園地の総合プロデュースをはじめ、IT、アパレル、外食、食品、不動産、保育園や子供関連など、ジャンルを越えた企業のCBO・顧問・ネット戦略のブランディングを務める。厚生労働省イクメンプロジェクト推進メンバー。著書多数。

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