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仕事の効率がいい人は、最初にひと手間をかけている

2017年08月11日 公開
2017年08月16日 更新

山本憲明(税理士)

仕事は「得意分野」から始めるべし

写真:photolibrary

書類作成やルーティンワークなどのデスクワーク。自分のやり方一つで効率化がはかれる部分だが、意外とできていない人が多い。会社員時代に効率よく仕事を終えることで働きながら資格を取得、現在も税理士として働きながら書籍の執筆などを行なう山本憲明氏に、デスクワークを効率化する方法についてうかがった。《取材・構成=西澤まどか》

 

段取りの「ひと手間」が結果的に効率を高める

仕事が速い人のデスクワークの特徴として、長期的に見て効率につながる「ひと手間」を最初にかけている、ということがあります。目についたものから闇雲に手をつけるのではなく、作業に取りかかる前の準備や段取り、つまり初期投資とも言うべき部分に時間を費やしているということです。逆に、ムダが多い人はこれをやっていないのです。

では、具体的にはどんな行為が「初期投資」にあたるのでしょうか。まずは「段取り」を考えることです。これは学校の入試や資格試験などを思い浮かべてもらうとわかりやすいかと思います。試験問題に第一問から順番に取りかかっていたのでは非効率的で、簡単な問題や得意な問題から正確に解いていき、自信をつけたところで難しい問題に取りかかっていたはずです。

仕事も同じで、全体を見回し、自分の得意な分野やすぐに終わるものから着手することで、流れに乗ってスピードアップがはかれるのです。仕事にムダが多い人は、何も考えずに目についたものから着手し、スピードアップに失敗しているケースが多いと感じます。

 

「年1回の作業」こそマニュアル化が必須

もう一つ、デスクワークの初期投資として重要なのが、マニュアルやフォーマット、チェック表などを作ることです。

ここで、私がやっていることをご紹介します。税理士の仕事の一つに、年末調整があります。この作業は年に一度しか行ないませんが、必ず発生する仕事です。しかし、直近で行なったのが一年前のこととなると、細部を忘れてしまっていることも多いものです。だからといって、1からやり方を調べるのも時間のムダです。

そこで私は、年末調整のマニュアルを独自に作成し、それを毎年使っています。マニュアルといっても難しいものではなく、エクセルの表を使って作業の手順をリスト化しているだけです。でもそれがあるだけで、毎年の作業に費やす時間を大きく減らすことに成功しています。こうした、「年に一度などたまにしかやらないけれど、確実に定期的に発生する仕事」こそ、マニュアルを作っておく必要があると言えるでしょう。

マニュアルと同じく大切なのが、チェック表です。これも私の仕事の例ですが、税務署にデータを送る際にエラーがあると、修正に時間がかかります。そこで、記入漏れがないかどうかあらかじめチェックできるよう、これもエクセルにリストを作っておき、送信前に最終チェックをしています。

 

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著者紹介

山本憲明(やまもと・のりあき)

山本憲明税理士事務所代表/税理士

1970年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。大学卒業後、横河電機〔株〕に入社。社会人6年目から知識ゼロの状態で、働きながら税理士試験の勉強を始める。社会人の合格平均年数が6~7年と言われる難関試験にわずか4年で合格(税理士登録に必要な5科目すべてに合格)。気象予報士、中小企業診断士にも、1年という短期間で合格。著書に『試験に「合格する人」と「落ちる人」の習慣』(明日香出版社)などがある。

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