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「耳の痛いこと」を伝えて部下と職場を立て直す技術

2017年02月22日 公開
2023年04月06日 更新

中原 淳(東京大学准教授)

 

フィードバック 7つのポイント

 それでは、相手のパフォーマンスの向上につながるようなフィードバックを実際に行うには、どんなことを意識すればいいのでしょうか。大きくフィードバックの流れを示せば、以下のようになります。

 

【事前】
 情報収集:SBI情報の収集
    ↓
【フィードバック】
 (1)信頼感の確保
 (2)事実通知:鏡のように情報を通知する
 (3)問題行動の腹落とし:対話を通して現状と目標のギャップを意識化させる
 (4)振り返り支援:振り返りによる真因探究、未来の行動計画づくり
 (5)期待通知:自己効力感を高めて、コミットさせる
    ↓
【事後】
 フォローアップ

 

【事前】情報収集:SBI情報の収集

 まずフィードバックをするときに最も大切なことは、「フィードバックから始めない」ことです。要するに、フィードバックは、フィードバックにおける事前準備が最も大切であり、そこから勝負が始まっているということです。

 なぜなら、相手に刺さるようなフィードバックをするためには「できるだけ具体的に相手の問題行動の事実を指摘すること」が必要だからです。よって、私たちはフィードバックを行うために必要なデータを、事前に部下の行動を観察することで徹底的に収集していくことが求められます。

 フィードバックをするときに必要になるデータとして、「SBI情報」を準備しておくのがよいということは、実践知の1つとしてよく知られています。SBIとは、シチュエーション(Situation)、ビヘイビア(Behavior)、インパクト(Impact)の頭文字をとったものです。

 ・シチュエーション(どのような状況で、どんな状況のときに)
 ・ビヘイビア(部下のどんな振る舞い・行動が)
 ・インパクト(周囲やその仕事に対して、どんな影響をもたらしたのか。何がダメだったのか)

 この3点を具体的に伝えることで、初めて、相手はあなたの言いたいことを理解してくれます。

 

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フィードバックは個人の問題ではなく、「組織の問題」? >

著者紹介

中原 淳(なかはら・じゅん)

立教大学経営学部教授

1975年、北海道生まれ。東京大学卒業、大阪大学大学院修了、メディア教育開発センター(現・放送大学)助手、米国・MIT客員研究員、東京大学講師、准教授等を経て、2018年4月より現職。「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織の人材開発、組織開発について研究している。著書に、『フィードバック入門』『実践!フィードバック』(以上、PHP研究所)など多数。

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