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スッキリ目覚めて疲れが残らない睡眠術

2016年12月22日 公開
2023年05月16日 更新

裴英洙(医師/ハイズ代表取締役社長)

 

睡眠にまつわる「神話」にダマされるな

 そこでまず、基本的な睡眠のしくみを知っておきましょう。

 睡眠には2つの種類があります。「うとうと」程度の浅い睡眠が「レム睡眠」、「すやすや」「ぐっすり」に当たる深い睡眠が「ノンレム睡眠」です。この2種類の眠りは、それぞれ重要な役割を果たしています。

 レム睡眠の役割は、「脳のメンテナンス」。レム睡眠中も脳は動き続け、記憶や感情の整理を行なっています。この時間をしっかりキープすることで、うつ病のリスクも下がります。

 対してノンレム睡眠は、「身体のメンテナンス」のための時間。傷んだ筋肉の修復や肌の再生、血流停滞の解消、免疫力アップなど、肉体の疲れを回復する時間です。

 睡眠中はこの2つが約90分の周期で交互に訪れます。しかしこれはあくまで「約」であり、個人差があることに注意しましょう。そこを押さえていないと、さまざまな情報に惑わされてしまいます。

 たとえば、「睡眠時間は90分の倍数が良い」という説。この根拠は「浅いレム睡眠のタイミングが来たときなら、起きるのがラクだから」ということなのですが、周期が80分や100分の人には当てはまりません。

他にも、「8時間睡眠が理想」「夜10時~深夜2時は『睡眠のゴールデンタイム』」などの説も気にする必要はありません。

「10時就寝」は働く人にとって非現実的ですし、「早く寝ないと」というプレッシャーでかえって眠れなくなることもあります。時間帯にとらわれず、入眠直後のノンレム睡眠で熟睡することを心がけるほうが得策です。

 このように、世間で言われている「睡眠神話」は基本的に万人には当てになりません。睡眠のありかたには個人差があり、良い睡眠を得る方法にも「万人向けの正解」はないのです。

 良い眠りのコツは、「正解」ではなく、自分用の「最適解」を探り出すことです。自分に合った方法を見つけ、カスタマイズしていくことが大切です。

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著者紹介

裴 英洙(はい・えいしゅ)

ハイズ〔株〕代表取締役社長/医師/医学博士/MBA

1972年、奈良県生まれ。金沢大学医学部卒業後、金沢大学第一外科に勤務。医師として働きながら、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應ビジネス・スクール)を首席修了。ビジネス・スクール在学中に、医療機関再生コンサルティング会社を設立。現在も医師として臨床業務をしつつ、医療機関経営に関するアドバイスを行なう。著書に、『一流の睡眠「MBA×コンサルタント」の医師が教える快眠戦略』(ダイヤモンド社)など。

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