2016年12月25日 公開
2017年02月01日 更新
――Wantedly Visitの他にもいろいろなサービスを展開されていますが、今、最も伸びているのはなんですか?
仲 『Wantedly People』です。2016年11月11日にリリースしたばかりの名刺管理アプリで、2週間で約50万枚の名刺が登録されました。このペースだと12月の頭には100万枚に達すると思います。今までリリースしたサービスの中で、最も速いペースです。
――これまでWantedly Visitを利用してきた人がWantedly Peopleも利用するケースが多いのでしょうか?
仲 いえ、それ以外の方が多いですね。Wantedly Visitのユーザーは2割くらいです。
――他社の名刺管理アプリとは違う特長はなんでしょうか?
仲 3点あります。まず、名刺を1枚ずつ撮影しなくても、10枚までなら同時に撮影して取り込めること。2つ目は、撮影すると瞬間的に登録できること。そして、当社のサービスを利用している人の名刺だと、取り込んだらすぐにつながることができて、電話をかけたりメールを送ったりすることができることです。
人工知能が搭載されているので、ユーザーが使えば使うほど、画像認識や文字抽出の精度が上がっていくのも特長です。従来の名刺管理アプリとはまったく違うテクノロジーを駆使したサービスです。
――技術への投資をかなりされているのですね。
仲 とくに画像認識には高度な技術を使っています。複数枚の名刺を同時に認識するために、当初はディープラーニングを使おうと考えていたのですが、時間がかかってしまうので、メッシュライン法という技術を独自に開発しました。
――Wantedly Peopleは無料のサービスです。リリースした目的はどこにあるのでしょうか? ユーザーのデータを集めるため?
仲 日々、「仕事がつまらない」と思っている人は多いと思うのですが、そういう人たちに、当社のサービスを通じて「ココロオドル」仕事に出会っていただきたい。ワクワクしながら仕事をして、その結果として、社会的地位と経済力がついてくる。そういう人を増やしたい。この企業理念を実現するために、当社のサービスとの接点を増やすことが目的です。ユーザーのデータを増やしたいというわけではありません。
事業というものは、社会的意義がないとうまくいかないと思うんですよね。「売上げを増やすため」「データを増やすため」と考えて事業をしている会社は、長期的にはほとんどがつぶれますよ。
――「シゴトでココロオドル人を増やす」が御社の企業理念ですね。ところで、カタカナで「ココロオドル」というとnobodyknows+のヒット曲(2004年)を思い出すのですが、そこから取られた?
仲 その曲、知らないんですよね。今度、聞いてみようかな(笑)。
――Wantely People自体で収益を上げようという考えはない?
仲 5年や10年先の話ならともかく、少なくとも短中期的にはありません。
――Wantedly PeopleにしてもWantedly Visitにしても、高度な技術を開発して使っているということですが、技術力を重視するようになったきっかけがあったのでしょうか?
仲 以前、働いていたフェイスブック社では、エンジニアが一番強い権限を持っていたんです。その下にセールスやマーケッターがいる組織構造でした。
当時、立ち上げから6~7年しか経っていなかったFacebookのユーザーが世界に7億人もいたのは、ユーザーとの接点であるプロダクトを作っているエンジニアが権限を持っていたから。それを見たことが原体験ですね。
――優秀なエンジニアを集めるために、していることはあるのでしょうか?
仲 1つは、当社のビジョンとミッションをわかりやすく言語化することで、それに共感するエンジニアが来てくれるようにすることです。それから、サービスが伸びているということも大事だと思います。伸びている企業には入りたいと思ってもらいやすいですから。
それから、エンジニアが働きやすい環境を作ること。たとえば、フェイスブック社と同様に、当社でもエンジニアに大きな権限を与えています。そうすることでエンジニアが成長します。すると、レベルが高いエンジニアがいる会社にはレベルの高いエンジニアが入ってくる、という好循環に入ります。
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更新:11月22日 00:05