2016年09月02日 公開
2016年09月05日 更新
特集は、「築地市場へ行こう!」。
日本各地からさまざまな魚介類が集まる東京の台所「東京都中央卸売市場・築地市場」を紹介する。
特集のメインはマグロ。
「なぜ世界最高のマグロが築地市場に集まるのか?」と題し、マグロ漁からせり、仲卸、寿司――と現場のレポートが続く。
その他、江戸時代初期から続く魚河岸の歴史や、築地市場周辺の絶品めしガイドまで、魚好きだったら、読んでも見ても楽しい。
今年11月、江東区豊洲に移転予定の築地市場。
雑多で活気あふれる雰囲気を味わうには、今がラストチャンスかもしれない。
(……と思っていたら、移転が延期に!)
――と、楽しく特集を読んでいたのだが、私がこの号を取り上げた理由は別にある。
第2特集の「いま注目される老舗に学ぶブランディング術」。
実は日本、創業200年以上を経過した企業が世界で最も多い「老舗大国」らしい。
その数3,113社。世界の老舗企業の43%を占めるという。
最も古い企業は、創業西暦578年。なんと聖徳太子が生きていた時代だ。
業種別にみると酒造業がトップで725社。
また、100年以上続く老舗企業の排出率が都道府県で最も高いのが、京都府。そして、山形県、島根県と続く。
老舗企業の数の多さ、京都はなんとなく分かるが、山形、島根と続くのか……という驚き。
いや、そもそも、日本にこれほど長く続く企業が多いことも知らなかった。
目当ての企画があって手に取ったとしても、別の企画で興味深い記事を見つけたり、新しい知識・情報を得られるのは雑誌ならではの楽しみだ。
この特集の中で、創業300年を迎える「中川政七商店」の13代社長・中川淳氏や、さまざまな老舗企業の次世代を担う若手後継者の取り組みが紹介されている。
“伝統”や“老舗”という言葉にあぐらをかかず、『何を変えるべきで、何を変えてはいけないのか』が大切と語る中川氏。その言葉に表わされるように、現代の人たちに使ってもらうための工夫や、そこから生まれた商品が載っている。
そういえば最近、老舗のお店が作る、若い人たちも手に取りやすいデザインやパッケージの商品が増えてきている。その背景には、そんな想いが詰まっているのか。
老舗企業にかかわらず、今はまさに、変化に柔軟に対応できる企業が残っていく時代であろう。日々の取材からも感じることを、改めて実感した。
執筆:THE21編集部 K(「雑誌」担当)
更新:11月23日 00:05