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転職で成功する人vs.失敗する人

2016年04月25日 公開

城繁幸(人事コンサルタント)

会社のいいなりでは自分の価値は上がらない

 ただ、日本企業では、ジョブローテーションによって短期間でさまざまな部署を経験させられるところも多い。そうした条件下で、転職市場で評価される「幅のある専門性」や「プラスアルファの強み」を身につけるには、どうすればいいのだろうか。

「人事異動に際し、会社は社員1人ひとりの今後のキャリア形成を考えたうえで異動先を決めているわけではありません。だから会社から言われるがままに部署を転々としても、転職市場で通用するキャリアを磨くことには結びつきません。

 そのため40歳になるまで営業や販売管理や総務などいろいろな職務を経験したけれども、何一つ専門性が身についておらず、異なる部署での勤務経験をシナジーできていない人がたくさんいます。残念ながらそういう人は、転職で成功するのは難しいでしょう。

 自分が望むキャリアは、自身で磨いていかなくてはいけません。まず必要なのは、これまでのキャリアを棚卸しし、得意分野や興味関心を確認したうえで『この分野なら誰にも負けない』という専門性を早急に確立することです。そしてその専門性を横展開できる分野を見つけ、自らキャリアの幅を広げていきます。

 たとえば私の知人は、人事の専門能力を身につけたうえで、自ら志願して海外の事業所に赴任。そこで現地で働く日本人駐在員の人事マネジメントを行なうポストに就きました。こうして『海外進出の際の人事マネジメントについては、彼に任せれば安心』という評価を社内で確立することができたのです。もちろん『人事+海外』という彼の強みは、転職市場においても大きな武器となります。

 最近の企業は、社内公募制度など、社員の希望を叶える仕組みを導入するところも増えています。自身が望むキャリアを実現するためには、チャンスに備えて日頃から爪を研いでおくとともに、チャンスが到来したときには、『私はこれがやりたいんだ』と積極的にアピールすることが大切になります。

 私の知人も『いずれは海外に行きたい』という思いを持ち、一所懸命に勉強していました。だから会社から認められ、自分が望むキャリアを手に入れられたのです」

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著者紹介

城 繁幸(じょう・しげゆき)

人事コンサルタント

1973年山口県生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通に入社。2004年に独立。人事コンサルティング「Joe's Labo」代表取締役を務める。雇用問題のスペシャリストとして、「若者の視点」を取り入れた独自の主張を展開。著書に『若者はなぜ3年で辞めるのか?』(光文社新書)、『7割は課長にさえなれません』(PHP新書)など。

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