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人材のプロが明かす! 「選ばれる人」の条件

2016年03月08日 公開
2023年02月09日 更新

井上和幸

理想とする人物の振る舞いを真似てみよう

 第一印象とは、見かけだけでなく、思考や実践の積み重ねの上に作られるものでもある。「第一印象からはその人の日頃の考え方や取り組みが透けて見えます。その意味では、これからの心がけ次第で、第一印象を変えていくことも可能です。

 その方法とは、理想とするリーダー像やビジネスマン像を日頃から意識し、振る舞いや発言を真似て、思考を重ねていくことです。人間は習慣の生き物ですから、やがてはそれが、あなた自身の印象へと変わっていくはずです」

 また、論理的な思考力や説得力を身につけるには、「言語化トレーニング」が最適だという。

「ビジネスでの方針や戦略、ヴィジョンを文字に書き起こしてみましょう。すると、頭の中では論理立てているつもりでも、曖昧で足りないヴィジョンが見えてきます。言葉を組み立てることで、そうした部分を補完し、人を納得させる力を磨くことができます」

 有能な経営者やリーダーは、まるで一枚の絵を広げるかのように鮮やかにヴィジョンを語ることができる。それは、彼らが常に、言語化と思考する習慣を積み重ねてきた結果なのだ。

「また『言語化』という意味では、自分の能力や思考、得意分野についても、率直にアピールできるようになるべきですね。『能ある鷹は爪を隠す』ということわざがありますが、日本人は周囲に自分をアピールすることを遠慮しがちで、それを良しとする風潮すらあります。

 しかし、この『美徳』はもはや現代では通用しません。海外においては、自分の武器を見せない人は無能と見なされ、グローバルリーダーになることはできません。 

 日本においてさえも、じっくり育てようと悠長に構える時代は過ぎ去り、即戦力として使える人間が求められています」

 自分の武器を相手に見せずに終わるのは、大きな機会の損失である。オーバープレゼンテーションではなく、自分の価値を素直に示せるフラットな感覚と表現力は、身につけておいて損はない。

「第一印象とは、あなたをわかりやすく伝えるショーウインドウのようなもの。それを意識して、日頃の取り組みから第一印象を磨いていけば、人生のあらゆる場面で、より多くのチャンスを手にできるはずです」

 

取材・構成 麻生泰子 写真撮影 永井浩

 

『THE21』2015年12月号

著者紹介

井上和幸(いのうえ・かずゆき)

〔株〕経営者JP代表取締役社長・CEO

1966年、群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、〔株〕リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、〔株〕リクルート・エックス(現・〔株〕リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に〔株〕経営者JP(https://www.keieisha.jp/)を設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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