2016年02月10日 公開
2023年05月16日 更新
行動管理を実践するには、部下に「やることリスト」と「したことリスト」を作らせ、上司と共有するのが効果的です。
部下は毎朝出社したら、今日やるタスクを書いたメールを課長に送る。そして1日の終わりに、実際に今日やったタスクを書いたメールを課長に送る。
1日2回の報告が負担なら、朝に「今日やること」と「前日したこと」をまとめてメールするやり方でもよいでしょう。
「やることリスト」に入っていて、「したことリスト」に入っていないタスクがあれば、それは何らかの事情で「できなかったタスク」ということ。それを部下からのSOSと捉えて早めに上司から声をかけ、遅れの原因を特定し、リカバリー策を一緒に考える必要があります。
部下の行動を把握すれば、課長が自分の行動を見直すこともできます。
部下の仕事の遅れは、上司が原因であることも多いからです。部下が大量のタスクを抱えている時に、急な仕事を部下に振ったら、「できなかったタスク」が増えるのは当然。
部下のタスクを課長が把握することで、「今日は大変そうだから、あの件は別のメンバーに頼もう」といった判断ができます。
一方で、課長の「やることリスト」も部下と共有することを勧めます。私も毎朝、部下に今日のタスクをメールするのが日課ですが、こうして上司の仕事量を開示すると、「今日はお忙しいようなので、例の資料は私が下書きを作りましょうか?」と部下のほうから助け舟を出してくれるのです。
「上司が部下に助けてもらうなんて」と考える人も多いようですが、そうした固定観念があるうちは、部下に仕事を任せて自分の仕事を減らすことなどできません。
従来の固定観念を捨てれば、仕事の無駄がどんどん省けます。たとえば「会議は一時間かけるもの」という決めつけをやめて、「会議は30分以内で終わらせる」と考えてみましょう。
実は「会議」といっても、実際の段取りは「会議の前」「会議中」「会議の後」に分けられます。そして会議が長引く理由は、本来なら会議の前や後にやるべきことを会議中にやっているからです。
会議に必要な資料の回覧や決裁者への根回しは、「会議前」にやる。前回の会議で宿題になった課題の解決策を考え、次回の会議までに資料にまとめるのは、「会議後」にやる。
こうして「会議の前」「会議中」「会議の後」に分けてTODOを可視化し、会議の前と後のタスクをチーム内で役割分担した上で徹底して実践させれば、実際の会議は30分で終わります。
一つの会社に長く勤めていると、固定観念を打ち破るのは難しくなります。他社の課長と交流して事例を学んだり、合同で勉強会を開くといったことも必要でしょう。
日々の仕事が忙しいからこそ、こうした「他流試合」の機会を積極的に作ることが、最終的には仕事の効率化につながるはずです。
《『THE21』2016年3月号より》
更新:11月22日 00:05