特別対談　栗山敏昭（栗山米菓社長）×北原里英

松下幸之助が語った「思うこと」の力

NGT48という新プロジェクトを任され、走りだしたばかりの北原さん。先輩である栗山社長は、伝説的な経営者たちに受け継がれてきた「秘伝」を教えてくれた。

栗山　一番大切なのは、思うこと。「こうなりたい」と思うことです。そう言ったのは、この人なんです（壁にかかっている松下幸之助の肖像画を指さしながら）。この人は、松下幸之助さん。経営の神様と言われた方です（編集部注：取材場所はPHP研究所内の会議室）。

あるとき松下さんは、経営者向けの講演で「ダム式経営」という話をしました。「人とお金と設備はつねにダムのようにためておいて、いざ必要なときに出しなさい」と言ったのです。すると、受講者からこんな質問が出ました。「我々のような中小企業は、ダムのように力を貯められないから困っているんです。どうしたらダム式経営ができるのかを教えてください」と。これに対して松下さんは、「まず思うことですな。思わないとできませんな」とおっしゃったそうです。聞いた人はみんな「当たり前じゃないか」と失笑したらしい。

でも一人、感動した人がいました。「そうか、テクニックじゃないんだ、まずは思いなんだ」と。それが私の師匠、京セラを創業した稲盛和夫さんです。思いがあるとそのとおりに行動するし、周りも応援してくれる。だから、不思議と願った通りになってしまう。……変な話だと感じますか？

北原　いえ、本当にそうだと思います！　私の場合は、思うことだけではなくて「口に出す」ことも大事ですね。言葉にすると、それを聞いた誰かがサポートしてくれることもあったりします。だから「言霊」ってあるなとも思います。実際、「新潟の企業さんの宣伝をしたい」と言っていたら「ばかうけPR大使」のお仕事をいただけました。

栗山　私も最近、新しい工場を作りたいと思っていたら、本社の近くにちょうどいい土地が見つかったんですよ。

北原　すごいです！　思うことは大事だなと思います。

栗山　そこまでわかっているなら、もう何も言うことはないくらいです。PR大使をお願いして間違いなかった。このリーダーだったら良いチームになるなと確信しました。

北原　よかった……向いてないんじゃないかと思っていたので。

栗山　その軸をぶらさないで、焦らずに成長していってください。

北原　はい、頑張ります。今日は本当に勉強になりました。ありがとうございました。