2016年01月09日 公開
2023年05月16日 更新
そもそも私は学生の頃から英語が苦手でした。リスニングはほとんどできないし、大学受験のときに英単語を覚えようとしなかったのでボキャブラリーも乏しい状態でした。
それでも英語を話すことに憧れがあったので、大学4年生のとき、1人で米国を旅行したことがあります。マサチューセッツ州にあるタフツ大学の寮に安く泊まらせてもらったのですが、サマースクールで寮にいたいろいろな国の学生に話しかけてもまったく話が通じず、相手の話も聴き取れないという有様。1人で食事をしているのがつらくなり、3週間の滞在予定を2週間で切り上げて日本に逃げ帰りました。誰にも見られたくなかったので、午前4時にコソコソと寮を出て……。ものすごい挫折でしたね。
そこで「外資系企業で働けば英語ができるようになるに違いない」と一念発起し、大学卒業後、ソロモン・ブラザーズに入社。3年後に転職したゴールドマン・サックスと合わせて、計12年間、外資系企業で働きました。さすがに仕事の英語くらいは理解できるようになりましたが、ディーリングで使う英語はかなり特殊なもので、それ以外の話になるとさっぱり。英語力が向上したという実感はまったくありませんでした。
英語力という点で転機となったのは、独立してマネックス証券を設立したあとです。経営者として、他の企業の経営者や投資家といった外国人に自社の事業を英語で説明する機会が増えていったのです。
それまでは同じ証券会社の人間とばかり話していたので専門用語が通じましたが、初対面の異業種の方には通じるわけがありません。そこで、できるだけ簡単な表現に直して伝えるよう、努力をしたのです。
もちろん、文法や単語の間違いはたくさんあったでしょう。ただ、繰り返しているうちに表現力が高まり、相手に自分の話が伝わるようになりました。さらに、外国人社員に指示したり、外国人経営者とパーティの席などで話したり、といった場数を踏むうちに自信がつき、ますます堂々と話せるようになったのです。
そうした経験からわかったことは、外国人とつきあううえでは、いくらヒアリングが上手でも、ひと言も話さないと「英語ができない」と見なされるということ。一方、発音や文法がめちゃくちゃでも、自分の考えを一生懸命、自信を持って堂々と話す人は、「英語ができる人」と認めてくれるのです。
更新:11月25日 00:05