2015年10月10日 公開
2015年10月15日 更新
ものを減らし、身の回りを整理することで得られるメリットを、村上氏も日々実感している。
「まずはスピードです。ものの量が少なくて、何がどこにあるかすぐわかるようにすれば、何をするにも圧倒的に速い。
それに、思考がクリアになる。何かを考えるとき、余計なものが目に入るとノイズになり、どうしても気が散ります。目につく場所が雑然としていると、イライラしませんか? 冷静に判断したり、落ち着いて作業をするためにも、身の回りは片づいていたほうがいいはずです。
それに、モノへの執着がなくなるとストレスが減ります。気になる対象が減るので、そのぶん自分が本当にやりたいことに集中できるのです。
私はもともと、ものへの執着がなく、買い物もそれほど好きじゃないんです。『スーツは黒と紺、どちらを選ぶか』とか、どっちでもいいことを無駄に悩みたくない。仕事でさまざまな意思決定をしなければならないので、それ以外で決めることはできるだけ減らしたいのです」
それでは、「ものへの執着が捨てられない」という人はどうすればいいのか。
「優先順位をはっきりさせることですね。私の場合、今はとにかくビジネスに注力したい。だから、ものを買うことの優先順位が低いのです。
優先順位を決めるときは、本能に従えばいいと思います。『自分は何が好きか』『何をすると疲れるか』といった感覚に忠実になればいい。
私は『この新規事業をやるかどうか』といったビジネス上の大きな決断をする際も、本能を信じるようにしています。それに挑戦した時のことを想像して、ワクワクするならやってみる。複雑性の高いものほど、直感に従うほうが正しい場合が多いからです。
シンプルなものはロジカルに考えるべきですが、物事が複雑であるほど変数となる要素や未知の要素が増えるので、ロジックを積み上げても判断できないことが多い。それに対し、直感は過去の判断とその結果が蓄積されたビッグデータのようなもの。経験値を積めば、直感の精度も上がります。
だから皆さんも、もっと本能に従っていいんじゃないでしょうか。自分にとって本当に必要なものは、それほど多くないはず。自分が好きとか楽しいと思えるものだけを手元に残せば、きっと今あるものの八割は捨てられるはずです」
《『THE21』2015年11月号より》
更新:11月25日 00:05