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職場の健診では不十分! 初めての「人間ドック」入門

2015年08月13日 公開
2023年05月16日 更新

山門實(日本人間ドック学会副理事長)

健康診断

職場での健康診断だけでは、検査できる病気が限られている。だからこそ、定期的に人間ドックを受けることが重要だ。とはいえ、「費用も時間もかかるから...」と二の足を踏む人もいるかもしれない。

しかし、ビジネスマンは身体が資本。人間ドックで病気を早期発見することは、仕事の基礎とも言える。人間ドックの受け方について、専門家にお聞きした。

※本稿は、『THE21』2015年9月号「プロビジネスマンの体調管理術」より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

会社の健康診断だけで安心していてはいけない!

会社員の方は、毎年、必ず職場で健康診断を受けているはずです。労働安全衛生法によって義務づけられているからです。

それに対して、人間ドックを受けるかどうかは任意です。それなら、職場での健康診断で異常が見つからなければ、人間ドックは受けなくても問題ないのかといえば、そうとは限りません。

たとえば、職場での健康診断では気づかれなくても、人間ドックで行なう腹部超音波検査でがんが発見されることがあります。腹部超音波検査は、肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓のがんを検査するものです。

そもそも職場での健康診断では検査対象にしていない病気も含めて、ほとんどの病気を網羅しているのが人間ドックの特長なのです。

胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮がんについては、健康増進法に基づく「がん検診」でも検査することができます。また、生活習慣病については、「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づいて、40~74歳の人全員を対象にした「特定健康診査・特定保健指導(いわゆるメタボ健診)」があります。

がん検診とメタボ健診の両方を受けるとなると面倒だと感じるかもしれませんが、人間ドックなら、がんも生活習慣病も、一度に検査できます。

実際、人間ドックを受けて「要医療」と判定される人は5%程度います。「要精密検査」も5%ほど。疾患を早期に発見し、治療して、健康寿命を延ばすためには、人間ドックを定期的に受けることが重要だと言えるでしょう。

1回、人間ドックを受けると、健康が改善した状態が3年間継続するというデータがあります。ですから、40歳未満なら、3~5年に1回、受ければ良いと思います。

40歳を過ぎると、がんや生活習慣病など、さまざまな病気が急に増えてきます。40歳以降になったら、毎年、人間ドックを受けるべきだと、私は考えています。

 

オプションの検査も定期的に受けるべき

人間ドックで検査する基本項目は、日本人間ドック学会が定めています。その中でも、40歳未満の場合は、将来の脳卒中や心筋梗塞のリスクを調べる検査項目に注意すると良いでしょう。

これらは動脈硬化によって起こる病気で、肥満、高血圧、脂質異常症、糖代謝異常、高尿酸血症、CRPの異常高値などが動脈硬化につながります。

40歳以上だと、現に、がんや生活習慣病になっていないかを調べることが、まず大切です。がんのうち、胃がんや肺がんなど、多くは基本検査項目に含まれていますが、前立腺がん、乳がん、子宮がんについてはオプションになります。

また、大腸がんについては、便潜血の検査だけが基本項目に含まれています。大腸がんができていても便潜血が陰性であることがあるので(偽陰性)、オプションになりますが、5年に1度、大腸の内視鏡検査も受けるべきでしょう。

脳卒中のリスクを把握するために、脳ドックで「隠れ脳梗塞」や「未破裂脳動脈瘤」を見つけることも重要ですが、これもオプションです。高血圧などのリスクを持っている人は3年に1度、持っていなければ5年に1度、定期的に検査することをお勧めします。

現在は、AICSという、血液をわずか5cc取るだけで、さまざまながんのリスクを調べられる検査をしている医療機関もあります。まずはAICSを受けて、自分にどんながんのリスクがあるのかを知ってから、オプションを選ぶという手もあるでしょう。

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著者紹介

山門 實(やまかど・みのる)

〔公社〕日本人間ドック学会副理事長

1972年、群馬大学医学部卒業。三井記念病院内科研修医を経て、東京大学医学部第二内科などに勤務。83年、三井記念病院腎センター科長。91年、同健康管理科部長。94年、同総合健診センター所長。2012年、同特任顧問。14年より足利工業大学看護学部学部長。

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