2015年03月06日 公開
2023年05月16日 更新
そして大切なのは、3つの箱という発想が習慣化するように、日常生活の中でも英語を使うことです。映画の台本から使えそうなフレーズを丸暗記する。海外からの英文メールを真似して使う、身の周りのものについて英語で言ってみる……など、学習法はさまざまですが、私がお勧めしたいのは英語のビジネス書と翻訳本の読み比べです。
ビジネス書は難しそうだと思うかもしれませんが、論理的に話か展開されているため、目次を地図代わりに全体の構造を確認しながら読み進めることができます。
意外に難しいのが、絵本や物語。独特な言い回しや造語が使われていることが多いのです。『ハリー・ポッター』シリーズなども実はかなり難解。
興味のあるテーマや自己啓発系の本を選べば、仕事のヒントを得たり、知識が増えていくなどの嬉しい効用もあります。いざというとき、読書から得た雑学が身を助けてくれることもあるでしよう。
洋書や英文メールを読む時のポイントは、「頭から処理する」ことです。たとえば、“I like him because he is very kind.”なら、「私、好きです、彼を、だって、彼はとても、やさしいから」といった具合です。速く読むには、後ろからひっくり返さず、Becauseは「だって、~だから」と訳しましょう。
慣れてくると、次にくる言葉を予測できるようになり、読むスピードがアップします。こうして頭から処理する作業は、リスニングや同時通訳も同じです。
3つの箱をより有効なものとするには、語彙力も重要。一般的に、日常生活に支障がないのは1万語と言われています。これに時事ニュースや業界ごとの専門用語を加え、仕事で使える単語を増やしていきましょう。
英語の上達は自転車の運転に似ています。最初は親に支えられてペダルを漕ぎ始めますが、次第にコツをつかんで1人で乗れるようになります。同じように、英語もコツを会得するのは自分次第。学習を積み重ねると、英語に触れた際に、「あれっ!」とピンとくる回数が増え、いつの間にか英語が自分のものとなるはずです。ぜひその日を体験していただきたいと思います。
山西治男
(やまにし・はるお)
國學院大學文学部外国語文化学科教授
1961年静岡県生まれ明治大学大学院修了。現在、國學院大學にて英語および英語関連科目を担当。英語をわかりやすく教えてくれる先生として生徒に人気。著書に、『英語は要領!』『英語がほとんど話せない人でも1ヵ月でそこそこ話せるようになる本』(以上、アスコム)など。ブコウスキーやポール・ボウルズなどの翻訳も手がける。「現代用語の基礎知識」(自由国民社)では「若者ことば」を担当している。
<掲載誌紹介>
<読みどころ>今月の『THE21』は英語特集。「今年こそは絶対に英語を」と考えている方に向け、英語を学ぶ心構えから実践的な勉強法、その他トピックスまでいろいろな方にお話をうかがいました。正直、それぞれの方の勉強法は十人十色で、ときに正反対のことを言っていることもあります。でも、どの方法も、その方が英語を身につけた「正しい方法」。皆さんに合った方法を選んで、ぜひ実践してみてください。
更新:11月23日 00:05