2015年03月06日 公開
2023年05月16日 更新
《『THE21』2015年2月号より》より》
英語で言いたいことがあっても、すぐに言葉にできない……という経験は誰しもあるだろう。難しい表現ばかりではなく、中学や高校で習ったものでも、「すぐに口をついて出る」状態になるのは難しい。それは、英語と日本語の構造がそもそも違うからだ。言いたいことをうまく文章にできる「3つの箱」について教えてもらった。
<取材構成:千葉優子>
来週から海外出張に行かなくてはならない――。そんなとき、慌てて日常英会話の本を開いてみると、「空港」「買い物」「レストラン」といったシチュエーション別に、さまざまな言い回しが紹介されているでしょう。
しかし、これらを1つずつ覚えていく勉強法では、短期問で膨大な言い回しを暗記しなければならず、差し迫った出張には間に合いません。また、特定のシチュエーションではなんとかなっても、仕事で使えるレベルには到達しないでしょう。
私か見てきた日本人の多くは、学生時代に文法も単語も勉強したのに、いざ話そうとすると知っているはずの英語でもすぐに出てこない……というパターンが大半でした。
なぜこのようなことが起こるのか。その最大の要因は、日本語と英語は語順が違うからです。英語教材や英会話スクールでは、「英語で考えて英語で話しましょう」と指導することが多いようですが、これは英語学習者が目指す最終ゴール。生まれてからずっと日本語で考え、日本語で話してきた人が、いきなりこれを実践しようとしてもうまくいかないのは当然です。
一番自然なのは、言いたいことを日本語の文章で考え、英語に翻訳する方法でしょう。そこで私か提唱するのが、「3つの箱」という装置です(図表参照)。使い方は簡単です。言いたい日本語をバラバラにして3つの箱に放り込んだら、あとは英語に変換するだけ。日本語を英語の構造に合わせた形に整理できるため、悩まずに英語が使えるようになります。
たとえば、仕事で同僚の手を借りたい場合。日本語では「手伝って」で通じますが、英語では「誰が」「どうする」をはっきりさせなければなりません。
したがって、「手伝って」を英語的な語順に言い換えると、1の箱には、「誰が」という主役の「私」が入ります。たとえその場に2人しかいなくても、必ず主役が「私」であることを言わなければなりません。
次いで、2の箱には主役が「どうする」という「欲しい」が、3の箱には1と2以外の「あなたの助けが」が入ります。最後に、「私は、欲しい、あなたの助けが」をそのまま英語に訳すと“I need your help.”という英語が完成します。まずは言いたいことを大まかに3つの箱に放り込み、頭の中で整理するという発想を身につけましょう。
こうした英語的な発想は、「話す」だけでなく、「読む」「聴く」「書く」ときも同じ。3つの箱をエンジンとして備えることで、自然と英語に適した頭になっていきます。すると、うろ覚えだった英語がうまく回り始め、単語ではなく文章として英語が使えるようになってくるのです。
文法にこだわるあまり、人前で話せなくなるのは日本人の悪い癖。前置詞や3人称単数現在の「S」などの細かい部分は後から勉強すればいいのです。
英語の基本は、とにかく「誰が」「どうする」をはっきりさせること。それゆえ、話すときは名詞と動詞を強く、それ以外の言葉は素早く、弱く発音するだけでも、相手に言いたいことが伝わりやすくなるはずです。
更新:11月23日 00:05