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アイリスオーヤマ・大山健太郎社長の「即断即決」仕事術

2015年01月06日 公開
2023年01月30日 更新

大山健太郎(アイリスオーヤマ社長)

 

あえて締切ギリギリに取りかかつても良い

 こうした施策を素早く実現させるためには、社内の仕組みも重要になる。大山氏自身もITを使いこなし、「すぐやる」執務スタイルを実現している。

 「スケジュール管理は、もっぱらⅰPadで行ないます。私か入力すれば、秘書のデスクのパソコンにも反映される仕組みです。幹部社員のスケジュールはみな同じ方法で管理していますから、誰がどこにいて、どんな仕事をしているかも随時わかります」

 幹部社員が回覧する稟議書も、ⅰPadで管理している。

 「昔は出張から帰ってくると机の上に稟議書が山積みで、それを決裁するのがひと仕事でした。デジタルで管理するようになってからは、どこでも確認できます。関係者全員がいつでも見られてすぐ決裁できますから、誰かのところでストップする心配も無用。過去の稟議書も同じ画面に呼び出せるので、報告書としても役立ちます。いつ、何についてどんな決裁を行なったかを手元で確認できるわけです。セキュリティさえ万全にしておけば、これほど便利なものはありません」

 さらに、全社員が書く「デイリーレポート」も皆で共有できる情報ツールだ。

 「これは各社員の1日の業務内容、所感、現場の情報、今後に向けた提案などが書かれたものです。社員たちはこれを閲覧することで、同僚がどんなアイデアを持っているかを知ることができる。私も、顧客ニーズの把握に大いに役立てています。こうして情報を共有することで、社員の連携はスムーズになるもの。もちろん、さらなるスピードアップも図れます」

 ちなみに、これらの情報を閲覧・処理するのは、主に移動中だという。

 「一番仕事がはかどるのが、本社のある仙台と東京を結ぶ新幹線の中。所要時間は約1時間半、これもちょうど良い長さですね。私は連続でパソコンの画面を見るのは45分までと決めているのですが、それが人間の集中力が持続する長さと同じだからです。45分間仕事して、あとは仮眠や情報収集の時間などに使えば、みっちり働けて、しっかり休憩もできます」

 新幹線で仕事がはかどるもう1つの理由が、「限られた空間・時間」であることだ。

 「東北新幹線の『グランクラス』という車両をよく利用するのですが、一人掛けの席なので周囲を気にせず集中できるのがありかたい。『1時間半後には東京に着く』とわかっているのでさらに身が入るのです」

 最後に大山氏は、「これは私だけかもしれませんが」と前置きした上でこう語った。

 「早めの準備や緻密な段取りほど良いとする人もいるかもしれませんが、私は必ずしも賛成しません。新幹線に乗っている時間にリミットがあるから集中できるように、締切が迫っているときこそ、良いアイデアが出やすいものです。私は会議の前、早い段階で資料をもらっていても、直前まで読みません。朝礼で話す内容も、会社に向かう車の中で考えます(笑)。むしろそのほうが、いい話ができるのです。

 『あえて締切ギリギリ』でやってみる。これも、短時間で密度の高い仕事ができる、効率のよい方法と言えるでしょう」

 

大山健太郎

(おおやま・けんたろう)

アイリスオーヤマ〔株〕代表取締役社長

1945年、大阪府生まれ。1964年、大阪府立布施高校卒業。同年、父の急死により家業である大山ブロー工業所代表に就任。1971年、同工業所の法人化に伴い大山ブロー工業〔株〕代表取締役となる。1991年、アイリスオーヤマ〔株〕に社名変更。現在。同社代表取締役を務める。


大山氏の健康の秘訣?“朝の習慣”

 若い頃は夜型だったこともあるが、今は朝型だという大山氏。朝の過ごし方は実に健康的だ。

 「毎朝、起床は5時過ぎくらいです。起きたらまず、新聞を3紙読みます。すみずみまで目を通すので、全部読み終わるまで1時間くらいかかります。その後、外に出て犬と一緒にウォーキング。散歩ではなくあくまでウォーキングで、そのお供が飼い犬です(笑)。時速6㎞とかなり速いスピードで歩きます。20分ほど歩いて、戻ったあとはお風呂で半身浴。雑誌を読みながら40分ほど入浴した後、食事を済ませて出勤します。

 朝は私にとって、『情報収集』と『運動』の時間となっています。運動は毎日欠かさず行いたいので、出張中でウォーキングができない日は、ホテルのプールでひと泳ぎします。

 このほか、週末には5㎞~10㎞ほどジョギングするのが長年の習慣。こうして身体を鍛えてあるからこそ、69歳になっても社員と丁々発止のやり取りができるのです。


 

<掲載誌紹介>

2015年1月号

<読みどころ>年末年始のあわただしい中、今ほど「仕事を速く終わらせなければ!」と痛感する時期はないのではないでしょうか?
そのためには、何事も「すぐやる」ことが不可欠。 にもかかわらず、なぜ、なかなか仕事に手を付けられないのか、仕事がはかどらないのか。
経営者から弁護士、アナウンサーまで各界の達人たちに、「仕事をすぐやる」コツをうかがいました。 ぜひ参考にしてください。 

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