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「営業マンこんなときどう言う?」 私がすべての疑問に答えます!

2014年09月09日 公開
2023年05月16日 更新

大塚寿(エマメイコーポレーション代表取締役)

大塚寿

営業をしていると、「こんな場面では、どう言えばいいのだろう?」と迷う場面に日々直面するもの。会話が弾まないとき、相手に断られたとき、次のアポが取れないとき……。そんな困った場面で何を話せばよいのか。かつて、自身もトップ営業マンとして活躍し、その後も多くの営業マンを育成してきた大塚寿氏に、シーン別の話し方を伝授してもらった。(取材構成:塚田有香/写真撮影:古田和本)

※本稿は、『THE21』2014年9月号より一部抜粋・編集したものです。

 

そのお悩みに答えます!

<Q1>雑談が苦手です。「これなら必ず盛り上がる」という 雑談の“鉄板ネタ”を教えてください
<A>「この前、大変だったんですよ」

雑談のセオリーは、(1)相手が喜ぶ話題を振る、(2)素朴な疑問を投げかける、(3)共通の話題を振る、の3つです。

(1)については、事前に相手の会社のことを調べれば、「御社が紹介された新聞記事、拝読しました」「今期の業績、好調だったそうですね」などと相手が喜びそうな話題を提供できるはず。消費材など身近な商品を扱う会社なら、訪問前に実際に使ってみて「御社の新商品、使用感がとてもいいですね」などと感想を言えば間違いなく喜ばれます。

(2)のセオリーを使うなら、たとえば名刺交換の際に「会社のロゴが素敵ですね。どなたがデザインされたのですか?」「会社のイメージカラーが変わりましたよね。どうしてですか?」といった質問をします。素朴な疑問は、その会社に興味がなければ出てこないので、相手も「こちらに関心を持ってくれているのだな」と感じて親近感を抱いてくれます。

(3)でお勧めなのは、共通の「非日常体験」を聞くこと。台風や大雪などの非日常的な体験は記憶に残りやすいので、「先日の台風で飛行機が運休になって、出張先から戻れず大変でした。あの日、〇〇さんは大丈夫でしたか?」といった話題を振ると、「この前は大丈夫だったけど、私も以前、台風で足止めをくらってね」などと盛り上がるはずです。

<Q2>会話がうまく盛り上がりません。盛り上げるための「あいづち」のコツ はありますか?
<A>「え、それ、すごいですね」

同意を示す「はい」「ええ」「なるほど」などのあいづちは誰もが使いますが、場面ごとにバリエーションをつけると、相手の気持ちも乗ってきて、こちらの知りたいことを自然に聞き出せるようになります。

より強い同意を示したいときは、深くうなずいたり、ゆっくり目をつむったりしながら「おっしゃるとおりです」、話に食いつくときには「え、それ、すごいですね」「はあー、さすがですね」と言えば、単なる同意以上の感動や共感が相手にも伝わります。

話を深掘りしたいなら「その原因というのは、どのあたりに……?」「他社さんでも同じような話をうかがったのですが、それって……?」、聞き返したいときは「今、おっしゃったのは……?」といった、言い切らない言葉での返し方が有効。相手が言いたくなさそうな話でも、こうした質問や返しで流れを作れば、本音を探っていくことができます。

<Q3>断られたとき、うまく切り返せません。いい方法はありますか?
<A>「ご教示いただきたいのですが……」

ここで大事なのは、相手が「難しい」と判断した理由を把握すること。ですから、「なるほど、今いまは難しいというご判断ですが、やはりその最大の理由は○○でしょうか」などと質問を返します。

○○に入るのは、自分の推測で構いません。それが呼び水となり、相手も本音を答えやすくなるからです。「今いま」という前置きも重要。これがないと、単刀直入すぎる印象になります。

あるいは「ご教示いただきたいのですが、どのあたりがクリアされると前に進むといった感じでしょうか」という聞き方もよいでしょう。

「ご教示いただきたい」とへりくだることで、相手の反発を防げます。語尾の「といった感じでしょうか」や先ほどの「今いま」は、“ヘンな日本語”ではありますが、会話で使うと座りがよいので覚えておくと便利です。

<Q4>「機会があれば」などと回答を先延ばしされたら、どう返せばいいでしょうか?
<A>「ありがとうございます。ところで……」

いったんは「ありがとうございます。いずれ機会があれば、ぜひご検討ください」と相手の言葉を受けましょう。ただし、そこで終わってはダメ。続けて、「ところで、今いま○○部長の中で優先順位が最も高いテーマはどのあたりでしょうか?」と聞きましょう。

「考えておく」「機会があれば」は事実上の断りフレーズですから、これ以上深追いしてもムダ。「では、どんな提案ならOKなのか」を改めて探るために、「ところで~」と話を仕切り直し、「どのあたり」というわざと曖昧な聞き方をして話題の範囲を広げ、相手がより強い関心を持っている課題を引き出します。

そこで「機会があればというのは、いつごろですか?」などと蒸し返すと、相手は「こちらは断っているのに、気の利かない営業だな」と思われるだけなので注意を。

<<次ページ>>〔Q5〕「背中を押す一言」は?

 

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