2014年04月04日 公開
2023年01月05日 更新
《『THE21』2014年2014年4月号より》
「軽く見られたらどうしよう……」多くの人が最も不安になるのが「初対面」のときだろう。
どんな相手かがわからなければ、こちらも何をどう話せばいいのか不安になるのは当然のことだ。とはいえ、ぶっつけ本番でいい印象を与えられるわけもない。しっかり準備をし、外見を意識し、初対面時にこそ役立つスキルを磨く。そうして初めて、相手との人間関係を築くためのスタートラインに立てるのだ。
そこで、『THE21』2014年4月号[総力特集・第2部]スタートで差がつく「初対面」の技術 では、ぜひとも知っておきたい「初対面の技術」について、6人の達人にお話をうかがった。*本誌登場順(敬称略)
<「初対面」で使える心理学>
渋谷昌三(目白大学教授)/「オープナー」な人が初対面での印象を制する
<「初対面」の準備>
渡瀬 謙(〔有〕ピクトワークス代表)/「相手にしゃべらせる」ためのネタを仕込む
<「初対面」での雑談のコツ>
松橋良紀(コミュニケーション総合研究所代表)/適切な「質問」で相手にどんどん話してもらう
<「初対面」での文章術>
高橋フミアキ(文章術作家)/たった400字で、相手に「情熱」を伝えるには?
<「初対面」での外見術>
唐澤理恵(〔株〕パーソナルデザイン代表取締役)/好印象を得たいなら「ダークスーツと白シャツ」で
<「初対面」の急所&リカバリー術>
臼井由妃(〔有〕ドクターユキオフィス代表取締役)/重要なのは「会った直後」のフォロー
詳しくは本誌をご覧いただくとして、お話をうかがった方々のノウハウをまとめてみた。
初対面が苦手という人は多いが、人によってその悩みは微妙に違うかもしれない。たとえば「会話の切り出しが苦手」という人もいれば、「最初はいいけど、次がつながらない」という人もいるはず。そこで、それぞれのシーン別、悩み別にまとめ、紹介する。
1 実は相手も緊張していると知る
初対面の際に忘れがちなこと、それは「自分にとっての初対面は、相手にとっても初対面」ということだ。渡瀬謙氏が言うように、「初対で緊張しているのは自分だけではない。相手も同じくらい緊張しており、警戒心も持っている」もの。そう考えれば、緊張感も薄れ、リラックスできるはずだ。そして自分がリラックスすることで、その場の雰囲気も和らぐのだ。
2 好印象でなくてもいいと開き直る
心理学者の渋谷昌三氏によれば、最初からいい印象を与えるより、徐々に印象を良くしていくほうが、最終的には好印象を与えられる、という。いわゆる「ゲイン効果」だ。逆に、最初からあまり自分を取り繕おうとして、どこかでボロが出てしまうと、むしろ印象は悪くなる(ロス効果)。「最初の印象が悪くても、あとで取り返せばいい」くらいの気持ちで気楽に臨もう。
3 話題がないなら「質問」する
あがってうまく話せない、ということなら、いっそ話さなければいい。松橋良紀氏は、「面白い話など必要ない」と断言する。むしろ相手にしゃべってもらうほうがずっと、いい印象を与えることができるからだ。そこで心がけるべきなのが「いい質問」。相手の話の腰を折らず、適切な合いの手を入れつつ話を聞いていけば、相手はきっと心を開いてくれるはずだ。
4 事前にネタを探しておく
会社の情報はもちろん、個人の情報ですら検索で調べることができる現在。だが、情報が多いだけに、漠然と集めていてはいくら時間があっても足りない。そこで「話のネタはないかという視点で探す」(渡瀬氏)。「相手の興味・関心はどこにあるかという視点で探す」(臼井由妃氏)など、相手とどんな会話をしたいのか、イメージしたうえで情報を探すといいだろう。
5 移動中に「ネタ」を探す
相手がいつも見ているものほど、話題になりやすいのは当然。そういう意味で、訪問の途中、道すがら目に入ったものはすべて話のネタになる。近くのお店の情報から会社の外観、受付の人の応対、会社のロゴなど、「あれを話のネタにしよう」と意識していれば、きっと話題が向こうのほうから飛び込んでくるはず。そのためにも時問に余裕を持って訪問しよう。
6 まずは「名刺」を話題にする
身近なものほど話題にしやすいと考えれば、名刺はその人にとって最も身近な存在。相手の肩書きや名前について話題にしてみよう。あわただしく名刺交換を済ませてしまう人は多いが、名刺をいただいたらその場でしっかりと目を通し、二言三言言葉を交わすくらいの余裕がほしい。また、複数の方が「名刺交換の際、フルネームを呼ぶ」ということを実践していた。
7 厳しい表情をしていないか
渋谷氏が言うところの「第一印象のいい人」は、「オープナー」な人。すなわち話しかけやすい人のことを指す。常に顔の筋肉が緩んでいて、口元も軽く開かれているくらいがいいという。あなたは初対面の際に緊張のあまり、口をぎゅっと結んでしまってはいないだろうか。それでは相手も話しかけづらくなり、会話が弾まないのも当然だ。自分の表情を意識してみよう。
8 ちぐはぐな外見になっていないか
人は大きく4つの顔の夕イプに分かれ、それぞれのタイプに適した服装や外見をしないと、違和感を与えてしまう。それが唐澤理恵氏の印象理論だ。たとえば童顔を隠すべくオールバックにすると、むしろおかしな印象を与えてしまうという。コンプレックスを隠そうとするあまり、自分に似合わない外見をしてしまっていないだろうか。鏡を見ながら見直してみよう。
9 相手の話をちゃんと聞いているか
相手が話しているのに、「ああ、それって○○ですよね」と決めつけたりして、話の腰を折ってしまう人がいる。あるいは、うなずくタイミングが早すぎて、相手がしゃべりにくくなる場合もある。話を聞く際は視線を合わせ、相手のペースに合わせてうなずき、できればメモを取りながら聞くことで、「ちゃんと聞いてくれているな」という印象になる。
10 別れ際の時間を活用
仕事の話が終わり、そろそろ帰ろうとしている場面。実はここが雑談の大きなチャンスだと松橋氏は言う。相手はリラックスしているので、意外とプライベートな話も聞けてしまうのだ。また、渋谷氏は、最後に含みを持たせるような話をすることで、次回また会いたいという印象を残せると言う(ツァイガルニク効果)。話が終わったときこそチャンスと考えよう。
11 ハガキを活用してみる
高橋フミアキ氏が活用しているテクニック、それは「ハガキ+メール+ハガキ」という「メディアミックス文章術」。メール全盛の時代にハガキでアポイントが来たら印象に残るし、さらにお礼状まで送られてくれば印象はより強固になる。メールで失礼のない文章を書くことももちろん大事だが、それに加えて「手書きの力」まで活用すれば、鬼に金棒だ。
12 フオローメールをする
臼井氏は初対面の人と会った後、会社に戻るやいなやすぐにお礼のメールを入れるという。だが、単なる面会のお礼では芸がない。「あのときおっしゃった○○が印象に残った」など、聞いた話を踏まえた内容にしよう。また、趣味の話題などが出たら、あとで「実際に私もやってみました」という連絡を人れるようにすれば、末永いおつき合いにつながっていく。
<掲載誌紹介>
<読みどころ>「ビジネスマンとしての経験を積んできているはずなのに、軽く見られているような気がする……」「同じことを言っているのに、自分が話すと、まともに取り合ってくれない……」訪問先で、あるいは社内でも、そのように感じることはないでしょうか。どうすれば、そんな状態から抜け出すことができるのでしょうか?今月号の特集では、自らメッセージを発信して協力者や顧客を得てきたビジネスプロフェッショナルの方々に“信頼される話し方”の秘訣を教えていただきました。
更新:11月23日 00:05