
鎌倉投信の創業者の一人である、新井和宏氏は、「性格によって向いている投資は異なる」と指摘します。無理なく資産形成を続けるには、自分の性格に合った方法を選ぶことが大切です。書籍『投資がうまくいく人の当たり前』から解説します。
※本稿は、新井和宏著『投資がうまくいく人の当たり前』(アスコム)より内容を一部抜粋・編集したものです。
※本稿は2026年10月時点の情報に基づき、投資に対する考え方を示したものであり、個別の金融商品を推奨するものではありません。金融商品の価値は状況によって変動しますので、購入の可否を含む投資の判断はご自身の責任で行うようお願いいたします。
投資を始めると、人によって驚くほど反応が違います。価格が上下しても平然としている人もいれば、数字を見るたびに落ち着かなくなる人もいます。ほったらかしが得意な人もいれば、株価や基準価額を何度も確認する人もいます。
こうした違いには、知識や経験だけでは埋めにくい「性格」の影響が大きく表れます。値動きが気になるタイプが個別株を頻繁に売買すると、日々の上下に合わせて感情が揺さぶられます。
「今日も下がっていないか」「売るべきか」と落ち着かず、心が休まる暇がありません。値動きが気になりやすいなら、インデックスファンドを毎月コツコツ積み立てる方が合っています。インデックスファンドは市場平均に連動するため、個別株より手間を抑えやすく、長期の積み立てと相性が良い商品です。
反対に、数字を追うのが好きな人なら、自分で企業を調べ、短期的な変化を楽しむ投資も悪くありません。
大切なのは、どんな手法が正しいかではなく、「自分に合っているかどうか」です。性格に合わない投資はストレスが大きく、いずれ続けられなくなります。続けられなければ、資産は増えません。自分に合った方法を選ぶことが、結果として資産を育てる近道になります。
投資は数字の世界であると同時に、心理に左右される世界でもあります。人は損失局面では冷静さを失い、利益局面ではリスクを過小評価しがちです。
「自分の性格を知る」とは、自分の感情の傾向を知ることです。自分がどんなときに焦るのか、どんな状況で欲が出やすいのかを知っておけば、感情に流されずに判断できます。
立ち直れないほどのダメージを受けないためには、自分の「リスク許容度」を知っておくことが大切です。リスク許容度とは、「どの程度の価格変動や損失なら、生活や心の安定を損なわずに受け止められるか」の度合いです。
ここで1分チェック あなたの"心が揺れる境界線"はどれに近い?
次の中から、「自分が一番しっくりくる」ものを1つ選んでください。
A:2000円の想定外の出費でも、わりと気になって引きずる(例:予定外の雑費、カフェ代など)
B:1万円くらいから、不安や後悔が出てくる(例:急な修理、なくした小物の買い直しなど)
C:10万円くらいだと、気持ちが大きく揺れて生活にも影響しそう(例:家電の故障、スマホ破損など)
D:100万円規模でも、気持ちは揺れるが冷静に対処できる(例:まとまった修理、予想外の大きな出費など)
選んだ記号が、あなたの「境界線の目安」です。ここで選んだ金額に正解はありません。大事なのは、どのラインから心が揺れるのかを自分で知っておくことです。
リスク許容度を超えた資産運用をしていると、値下がりが発生した際、不安な気持ちが続いたり、生活に支障が出るほどの損失を抱えてしまったりすることがあります。
同じ金額の損失でも、感じ方は人それぞれです。ポイントは「金額」ではなく「心の耐性」です。2000円なら平気でも、1万円で不安になることはありますし、10万円で眠れなくなる人もいれば、100万円でも冷静に見守れる人もいます。
どの金額から心が揺れるのか、その境界線を知っておくことで、自分に合った投資のスタイルが見えてきます。
大切なのは、他人の基準ではなく、自分の基準で考えること。どのくらいの金額なら、値下がりしても生活や気持ちが乱れないか。それを把握していれば、投資の選択肢が自然に定まります。
自分にとって「このくらいなら大丈夫」と思える範囲で運用額を決めることが、長く続けるための心の安全装置になります。
投資とは、数字を読むだけでなく、自分を知ることでもあります。理論や平均値に頼るより、自分のライフスタイルや心の癖に合った方法を見つけた人ほど、安心して投資を続けられるのです。
社会を支える事業の多くは、成果が出るまでに時間がかかります。
新しい技術の開発、環境や地域に根ざした取り組み、人を育てる活動。どれも短期間で結果が出るものではありません。
社会にとって意味のある挑戦ほど、時間とともに実を結んでいくものです。
だから投資家には「忍耐」が求められます。時間は、企業の成長を通じて資産を増やす力になります。
価格が下がったからといって慌てて手放すのではなく、「なぜ自分はこの会社に投資したのか」という原点を思い出す。
企業が倒産したり、思うような成果が出なかったりすれば、金銭的には損失を抱えることもあります。けれど、「学び」や「つながり」が残っていれば、その経験は決して無駄ではありません。
忍耐強く応援を続けるためには、心のゆとりが欠かせません。そのためには、損をしても人生が揺らがない配分で投資することが大切です。
たとえば投資総額100万円のうち、「特定の1社に5万円」という配分なら、万一その会社が倒れても生活は揺らぎにくい。
一方で、全財産を1社に預けてしまうと、その会社の行方が人生を左右してしまいます。「応援していた会社がなくなってしまった」とき、それが自分の生活の崩壊につながってしまえば、せっかくの投資が悲劇に変わってしまいます。
応援する気持ちを大事にしながらも、どれくらいの範囲で託すかを先に決めておくことが大切です。
投資とは、誰かを応援する行為です。応援を続けるには、自分自身の安定が前提です。どんなに共感できる企業でも、投資額の割合を調整し、自分の生活が脅かされない範囲で関わることが大切です。
その余裕があってこそ、相手を思いやる投資ができます。
更新:10月08日 00:05