THE21 » キャリア » お金への不安は当然だが... 惰性で今の仕事を続ける人が失う“本当の資産”

お金への不安は当然だが... 惰性で今の仕事を続ける人が失う“本当の資産”

本田健(作家)

お金への不安は当然だが... 惰性で今の仕事を続ける人が失う“本当の資産”

漠然と悩み続けるのではなく、心配を書き出し、「何が解決できる問題なのか」を整理することの大切さを解説してもらった。

※本稿は、本田健 著『自分に聞いてみよう 人生を選び直す49の質問』(きずな出版)の内容を一部抜粋・編集したものです。

 

あなたが今、心配なことは何ですか?

心配ごとには、一つの共通点があります。それは、たいていの場合、お金か、時間か、その両方が関わっている、ということです。

お金が足りなくて、心配。
時間が足りなくて、心配。

お金も時間も、いまはあっても、これから先どうなっていくのかが心配。多くの心配は、お金と時間の問題に、だいたい行き着くことが多いのです。

1.お金の心配
今月の支出、来年の生活費、将来の備え。

2.仕事の心配
いまの収入、これからのキャリア、定年後の働き方。

3.健康の心配
自分のからだのこと、家族のからだのこと。

4.家族の心配
親の介護、子どもの将来、配偶者のこと。

5.自分自身の未来の心配
いまの生き方で、本当に大丈夫だろうか。

お金と時間は、人生の中で、自分の選び方によって、ある程度はコントロールできるものです。もちろん、すべてを自分で動かせるわけではありません。でも、自分の使い方を見直すことで、変えられる部分は、意外に多いのです。

心配は、ごく自然な感情です。心配することを、悪く思う必要はありません。ただ、心配しているだけでは、状況は変わりません。心配の中身をはっきりさせて、それに対して、自分ができることを一つずつ整理していきましょう。その作業が、心配を行動に変えていきます。

いま、あなたが抱えている心配ごとを、紙に書き出してみてください。書き出すと、心配の輪郭が、はっきりしてきます。

「これは、お金で解決できる心配なのか」
「これは、時間の使い方で解決できる心配なのか」
「これは、いま考えても、どうにもならない心配なのか」

その仕分けをするだけで、心配の重さは、ずいぶん変わってきます。まず、いまの心配を、自分の中で、ちゃんと見ておきましょう。

 

銀行の口座にいくら入っていたら、明日から心配せず生きられますか?

あなたにとって、お金は、いくらあれば十分ですか。この問いには、その人のお金に対する全体感が、ぎゅっと詰まっています。でも、それだけではない何かが、その金額には込められています。

「十分」の金額は、その人がどれくらいの不安を、心の中に抱えているかを表す数字です。たくさんの金額が必要だと感じている人ほど、心の中に、大きな不安を抱えています。反対に、控えめな金額で十分だと感じる人は、生活そのものへの不安が、それほど大きくないのです。

お金は、追いかけるほど遠ざかる性質を持っています。

いま100万円持っている人は、「500万円あれば」と感じます。
500万円持っている人は、「2000万円あれば」と考えてしまいます。
2000万円持っている人は、「1億円あればなぁ」と夢見るのです。

なぜ、「十分」の金額は、いつも自分の手の届く少し先にあるのでしょうか。それは、お金が増えるほど、生活水準も上がっていくからです。また、つき合う人の層も変わっていくからということもあります。

そして、不安の中身が、お金のことよりも、いまの生活を失う不安のほうに変わっていくこともあります。結果として、いくらあっても「足りない」と感じる状態が続いていきます。

ここで一度、立ち止まって考えてみてください。

あなたにとっての「十分」の金額は、本当に安心をくれるのでしょうか。
その金額にたどり着いたら、あなたは、本当に安心できるのでしょうか。

安心は、金額そのものではなく、「お金に対する自分の状態」が、生み出すものです。

自分の状態が整っていれば、金額が少なくても、それなりに安心できます。そうでなければ、金額がいくらあっても、安心は永遠に手に入らないでしょう。

もちろん、ある程度の金額は、現実的な安心のために必要です。「漠然とした十分の金額」ではなく、「具体的な必要金額」を、計算してみましょう。月々の生活費を出して、その何か月分くらいが必要かを、書き出してみるのです。

これから先にどんな大きな出費があるかも、見えるところに置いてみましょう。漠然としていたものが、具体的な数字になるだけで、不安はずいぶん減ります。あなたの「十分」の中身は、何でしょうか。

 

あなたが今、やり続けていることは、本当は何のためですか?

毎日、繰り返していること。もう何年も、続けている仕事。なんとなく、やめずにきてしまっていること。その一つひとつには、始めた理由があったはずです。でも、続けているうちに、最初の理由を忘れている場合があります。

仕事のことを例に取ってみましょう。

いまの仕事を始めたときは、こんな理由でこの仕事を選んだという動機が、はっきりしていたと思います。希望の会社に就職できたとか、誇らしいと思ったこともあったでしょう。

でも、10年、20年と続けていると、その最初の理由を忘れてしまいます。ただ、長く続いているから続けているだけかもしれません。

人間関係のことは、どうでしょうか。なんとなく今の人間関係を続けているけれど、本当は、何のために続けているのか、よくわからなくなっています。

ただ、長くつき合ってきたから、というだけで、惰性で続いている可能性もあります。生活のスタイル。いまの暮らし方を、なんとなく続けています。

でも、本当にこれが自分に合っているのか、立ち止まって考えたことは、あまりありません。

毎日の習慣。長く続けてきた習慣が、いまの自分には、もう必要ないかもしれません。

でも、惰性で続けています。続けていることの中には、その人の「いまの自分」が映っています。

いま大切にしているもの。いま守りたいもの。ただ、惰性で続けているもの。もう、やめてもいいもの。

いろいろなものが、混ざっています。

ここで、あなたが「続けていること」を、いくつか書き出してみてください。

仕事のこと。人間関係のこと。生活のスタイル。毎日の習慣や長く続いている何か。

それぞれについて、「これは何のためにやっているのか」を、自分に聞いてみる。すぐに答えが出るものは、自分の中で、目的がはっきりしているものです。答えが出ないものは、惰性で続けている可能性があります。

惰性で続けていることに、自分の時間とお金が流れ続けている。その事実に気づくことが大切です。

すべてを、いますぐ変える必要はありません。ただ、続けていることの目的を、定期的に問い直す。

「これは、いまの自分にとって、まだ意味があるのか」

その問いがあるだけで、あなたの時間とお金の使い方は、少しずつ整っていきます。いま、あなたが続けていることのうち、「本当は何のためにやっているのかわからない」と感じるものはありませんか。その答えの中に、これから手放してもいいものが、隠れているかもしれません。

プロフィール

本田 健(ほんだ・けん)

作家

神戸生まれ。経営コンサルタント、投資家を経て、29歳で育児セミリタイヤ生活に入る。4年の育児生活中に作家になるビジョンを得て、執筆活動をスタート。「お金と幸せ」をテーマにした1000人規模の講演会やセミナーを全国で開催。インターネットラジオ「本田健の人生相談」は2,700万ダウンロードを記録。代表作に『ユダヤ人大富豪の教え』(大和書房刊)など、これまでに著書は110冊以上、累計発行部数は700万部を突破。

THE21の詳細情報

関連記事

編集部のおすすめ

メンタルダウン・リスク急増時代!

大室正志(医療法人社団同友会 産業医室 産業医)

役職定年で「うつ」になる人・輝く人の差 45歳から始める“引き算”の思考法

佐藤優(作家)

「職場うつ」予防のポイント

大野裕(精神科医),横山美弥子(産業カウンセラー)

有害な環境は人をネガティブにする 脱出するための7つの行動

チェイス・ヒル/スコット・シャープ 著、山口真果 訳