2012年11月29日 公開
2022年12月08日 更新
コミュニケーションの要諦は「しゃべる」ことではなく「聞く」ことにある。
『THE21』2012年12月号[特集「聞く力」の鍛え方]では、「聞き方」の達人3人に、相手に気持ちよくしゃべらせる会話の方法を教えていただいた。
質問編: おちまさと(プロデューサー)
姿勢編: 高野 登(前リッツ・カールトン日本支社長)
持ち物編: 渡瀬 謙(サイレントセールストレーナー)
*写真左から(本誌登場順)
ここでは、登場いただいた「聞き方」のプロ3人から学べる 「聞く力」の鍛え方 を、4点にまとめてみた。
達人に学ぶ 「聞く力」の鍛え方 1
人は、自分がしゃべりたいことをしゃべっていると楽しくなるものだ。自分はほとんどしゃべらなくても、相手にしゃべりたいことをしゃべってもらえば、「君と話していると楽しいよ」と思ってもらえる。だから、相手がしゃべりやすいように促すのが上策だ。
そこで、前リッツ・カールトン日本支社長の高野登氏がいうように、相手の気持ちを自分のなかにイメージし、相手の目線に立つことで、相手がどういう話をしたいのかを知ることが重要になる。それが難しければ、プロデューサーのおちまさと氏が勧めるように、仕事の成功談や武勇伝など、多くの人が語りたがるポイントをはめるのがいい。あるいは、サイレントセールストレーナーの渡瀬謙氏のように、相手が興味のあるモノを持参するのも手だ。
達人に学ぶ 「聞く力」の鍛え方 2
しゃべりたいことをしゃべっていると楽しくなるとはいえ、それは、聞き手がきちんと聞いてくれていると感じられてこそだ。
おち氏が「そこまでの話を要約してタイトルをつけてあげる」というのは、きちんと聞いていますよ、と相手に安心してもらうための技術。「~ということですか?」「たとえば、~ですか?」と聞けば、「そうそう」「いや、ちょっと違って~」などと、相手は自ら、さらにしゃべってくれる。
もちろん、フリだけでなく、心からの敬意でなければ、それが態度に表われてしまうだろう。高野氏が強調するように、相手の存在を認め、敬意を表することが、コミュニケーションの基本である。
ただし、敬意はアピールするものではない。相手に気持ちよく話してもらうことが重要だ。
達人に学ぶ 「聞く力」の鍛え方 3
言葉を投げかけたのに、相手がなかなか口を開かないと、不安になってしまうという人も多いだろう。しかし、そこで慌てて何かをしゃべる必要はない。おち氏がいうように、相手がしゃべるのを待てばいいのだ。
多弁な人もいれば、訥々とゆっくりしゃべる人もいる。人によって、しゃべるペースはさまざまだ。相手がじっくりと考えてくれているのに、自分のペースで勝手に判断して、思考を遮ってはいけない。言葉を投げかけた以上、ボールは相手サイドにある。
また、失敗を恐れて発言しないのもいけない。自分がひと声かけないと、相手がしゃべってくれることはない。ひと声かけてみると、自分の予想とは違う反応が返ってくるかもしれない。それに柔軟に対応することで、会話というものが成立するのだ。
達人に学ぶ 「聞く力」の鍛え方 4
「聞く」ということには、相手の話に耳を傾けるという行為と、相手に質問をするという行為が含まれる。どちらにせよ、相手に対して興味をもっていることが大前提だ。興味がなければ相槌や態度にもそれが表われ、相手は興醒めしてしまうだろう。
おち氏も、実際にする質問の数は少ないほどいいが、事前にはその何倍もの数の質問を用意しておくという。たくさんの質問を用意するためには、それだけの思い入れが相手になければならない。
とはいえ、どんな相手にも興味をもつのは、意識しないと難しい。そこで、高野氏が勧めるように、人に会う際には「いいところを5つ見つけよう」などと自らに課題を与えたり、会ったあとに気づいたことをメモしたりすることで、相手への興味を湧かせることができるだろう。
<12月号の読みどころ>
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特集は、「聞く力」の鍛え方。聞き方の達人3人にそのノウハウをうかがっています。
更新:11月27日 00:05