2021年10月29日 公開
2023年02月21日 更新
青果物大手の〔株〕ドールは、今年9月、廃棄バナナを削減する「もったいないバナナ」プロジェクトの第1弾として、2社が運営するジューススタンド計7店舗への廃棄バナナの提供を始めた。
「バナナは青い状態で輸入し、追熟させて店頭に並びます。1週間~10日ほど追熟させると、シュガースポットと呼ばれる黒い斑点が皮に出てきて食べ頃になるのですが、皮が黒くなってしまうと、見た目が悪いということで、品質には問題がなくても、店頭に並べられません。皮に傷がついたバナナも同様です。そうした廃棄されるバナナを、ジューススタンドに提供しています」(同社マーケティング部・成瀬晶子氏)
昨年、ドールは、SDGsの実現に向けて、「The Dole Promise」を発表。化石燃料由来のプラスチック包装の2025年までの廃止などとともに、同年までにフルーツ廃棄物をゼロにすることも掲げた。The Dole Promiseに基づいて、各国が様々な取り組みを進める中、日本での取り組みの1つが「もったいないバナナ」プロジェクトである。
「フルーツ廃棄物を減らすため、動物園やフードバンクへの提供、また、バイオ燃料としての提供などもしています。その中で、一般の方々に直接手に取っていただく商品にも展開したいと考え、バナナジュースに着目しました」(成瀬氏)
廃棄バナナと言っても、品質に問題はなく、美味しいことを広く知ってもらうとともに、「廃棄されるのだから安いのが当然」というイメージを変えることも目的だ。
「きちんと対価をいただいて、将来的には生産者や生産地に還元していきたいと考えています」(成瀬氏)
ジューススタンドで商品を購入するのは主に若い世代で、SNSへの投稿などが増えており、認知が拡大している手応えを得ているという。ジューススタンドも、SNSに投稿すれば割引やトッピングをサービスするなどのキャンペーンも行なっている。
「ジューススタンドもSDGsへの関心が高く、消費者のフードロスに対するリテラシーの向上に積極的に協力していただいています。現在は『7days BANANA』と『BANANA STAND』の2社ですが、今後はより多くの企業に廃棄バナナを提供したいと考えております。また、バナナと同じく追熟をする他の農産品、例えばアボカドやキウイ、パイナップルなどにも、同様の取り組みを広げていきたいと考えています」(成瀬氏)
「もったいないバナナ」プロジェクトが掲げるパーパスは「1本のおいしいが、世界を救う。」。自分たちの取り組みがSDGs実現に貢献しているということは、社員のモチベーションにもつながっているのを感じているそうだ。
更新:11月25日 00:05