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やる気がある人ほど陥りやすい"誤った勉強法"

2021年02月25日 公開
2023年02月21日 更新

尾崎智史(尾崎公認会計士事務所所長)

尾崎智史

仕事も家庭もあるビジネスパーソンにとって、資格試験の勉強は簡単なことではない。

いったい、どうすれば合格へと早くたどり着けるのか?資格予備校の講師も務め、勉強法についての著書もある公認会計士の尾崎智史氏に聞いた。(取材・構成:林 加愛)

 

資格を目指す動機を具体的に書き出そう

ビジネスパーソンが多忙な仕事の合間を縫って資格試験の勉強をするとき、その挑戦には主に三つの壁があります。

それは、モチベーション維持、スケジューリング、そして、自分に合う勉強法をいかに見つけるか、です。

この三つをクリアできれば、合格への道のりは格段に進みやすくなるでしょう。

まず、モチベーション維持で重要なのは目的です。その資格を目指そうと思った理由が明確なら、やる気が維持しやすくなります。

ちなみに、私が学生時代に公認会計士試験に合格した際の目的は「難関資格を取得することで、将来の安定性を高めたい」というものでした。さほど具体性はないものの、この思いは強い支えになりました。

この目標は、時間軸が長期的であることがよかったと思います。資格取得後の何十年にもわたるメリットをイメージしたことで、4年間の学生生活の様々な誘惑に負けずに済みました。

ビジネスパーソンなら、当時の私よりももっと具体的に目的を設定できるでしょう。

仕事をしながらハードな挑戦をするという選択をするからには、必ず強い理由があるはずです。その資格を仕事や人生にどう活かすのか、具体的に思い描いてください。

そして、そのイメージを、できるだけ数多く書き出しましょう。

「転職に有利になる」だけでなく、どんな業種、どんな職種で、どんな人と、どんな風に、誰の役に立つ仕事をしたいのか……。

今の仕事を続ける場合も同じです。その資格を取ることによって、何ができるようになるのか。周囲の評価がどう変わるのか……。

細かく、できれば100項目くらい書き出してください。

 

一度や二度、やる気が落ちるのは当たり前

目的が明確でも、モチベーションが落ちるときは落ちます。モチベーションには、必ず波があるのです。

1~2カ月で取れる資格なら、モチベーションが下がる前に試験日が来るでしょう。しかし、1年以上かかる難関資格となると、一度や二度はやる気が落ちる時期が訪れるものです。

とはいえ、モチベーションは、ある一定の水準よりも下がってしまうと、再び回復することが極めて難しいものです。ですから、下がり切る前に手を打つことが大事です。

それにはまず、「波はあって当然」と心得ること。「自分は意志薄弱だ」などと罪悪感に駆られると、ますますやる気が失せて悪循環に陥り、モチベーションが下がり切る状態に自ら近づいていってしまいます。「やる気は失せるもの」と知っておくことで、無用な自責を予防できます。

この前提に立ったうえで、モチベーションが下がったときの対策をあらかじめ用意しておくことが大切です。

誰しも、これまでの人生の中で、挫折して落ち込んだことや、不調に陥ったことが、何度となくあったはずです。そこから抜け出せたきっかけは何だったでしょうか。

運動して発散したのか、休息を取ったのか、友人に会って思い切りおしゃべりしたのか……。

過去の経験を振り返って、何をすれば自分は前向きになれるのかを探ってください。

加えて、他の人のモチベーション回復法を参考にして、自分に合いそうな対策を考えるのもいいでしょう。

こうした対策法も、数多く書き出しておくこと。そして、いざモチベーションが下がったときに見て、実践するのです。

その他、モチベーションのカンフル剤となるのは、何と言っても「結果が出ること」です。模試で良い成績が取れれば、一気にやる気がよみがえってきます。

その意味では、勉強を始めたばかりのモチベーションが高い時期に集中的に勉強をして、早い段階で過去問など本試験形式の問題を解き、「思ったよりも点が取れた」と実感するのもいいでしょう。

問題集に向き合うときも、この方法が有効です。

どんな難関資格でも、問題集の初めのほうには比較的解きやすい問題が並んでいます。簡単な問題を解いて正解できた経験を、スタートダッシュの時期にたくさん得ておきましょう。それが後々、モチベーションが下がった時期の支えになります。

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