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日本の宝「接客・サービス業」が、 国民のコロナ疲れを癒す日がきっと来る

2021年02月03日 公開
2023年02月21日 更新

船坂光弘(ホスピタリティ・コンサルタント)

 

リーダー職ならではの喜びややりがいを実感

こうしてリーダーである私の「思考」と「行動」が変化したことにより、前年まで歯止めが利かなかった婚礼組数の落ち込みがついにプラスに転換します。

それどころか、287組から451組へと激増し、売上も前年比で1.9倍に増え、その結果、全国のホテルの中で1年間で伸ばした売上が第1位となり、地方都市では異例の日本一を成し遂げることもできたのです。

この経験によって、私はプレーヤーとしてではなく、リーダーとして部下が提供したサービスを通じてお客様の喜びを感じることができました。

また、自分のマネジメントで部下がグングン成長していく姿を目の当たりにすることで、今まで自分には無かったリーダーとしての仕事の喜びややりがい、そして、リーダー職の素晴らしさを実感することもできました。

そして、そんなマネジメントを体現するために、私が一番大切だと確信したのは、部下に対する「ホスピタリティ」でした。

ホスピタリティというと、お客様へのおもてなしや厚遇といったイメージがあり、「なぜ部下に?」と思った人もいるかもしれませんが、よく考えてみてください。

社内の人間関係や職場環境が悪ければ、お客様に心からの笑顔やホスピタリティは提供されるはずもありません。もっと言えば、リーダー自身にメンバーに対するホスピタリティが伴わなければ、部下はお客様に心がこもったホスピタリティを提供するはずがありません。 

私はこのことをより広く社会に伝え、接客・サービス業の健全な発展に貢献したいという想いが強くなり、17年間お世話になったホテルを卒業して、今から13年前に今のザ・ホスピタリティチームという会社を立ち上げました。

 

コロナ禍でお客様の「有難さ」が身に染みた

ただ昨年、私たちにとって衝撃的な出来事がありました。

それはもちろん、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行です。

これまで、接客・サービスを通して、お客様のことを想い、お客様と触れ合いながら、時には元気を、時には笑顔を、時には感動をお客様に提供してきました。

そんなことが当たり前だと思う毎日を過ごしてきた中で、事態は一変しました。

「人と会ってはいけない」
「人と触れ合ってはいけない」
「人と人の間隔を2メートル以上空けなくてはいけない」

それまでは人手不足でとても忙しく、お客様に接客することが苦痛になったり、嫌になったりしていた人もいたはずです。

しかし、今回の件で、お客様が来てくださること、自分のサービスを受けていただけることが、当たり前ではなく、「有難い(ありがたい)」ことなんだということを、私自身も痛烈に感じました。

そして、自宅待機する中で、人に会ってはいけないということが、我々サービス業に携わる者にとってどんなに苦しいことかも味わいました。

 

「物理的距離」だけでなく「心の距離」まで離れてしまう

少しずつ普段の生活に戻っていく中で、私が恐れていることがあります。

それは、コロナ禍で培われた、

「人には会わないほうがよい」
「関わらないほうがよい」
「密にならないほうがよい」

という人々の思考です。

この人と人との距離感が、「物理的な距離」だけでなく「心の距離」まで離れていく気がしてなりません。

確かに、このことをきっかけにテレワークが進み、会社に行かなくてよくなるかもしれません。さらにネットショッピングも進み、人を介して何かを買う必要性が無くなるかもしれません。食事もレストランに行かずに、宅配で済むかもしれません。

しかし、「人間は人間によってのみ、大きな喜びやしあわせを得られる」と私は考えます。

これからの未来において、人との関わりを減らすということは、

「人間としての喜びやしあわせを削ることになる」

と危惧しています。

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