2021年01月13日 公開
2022年10月25日 更新
商品やサービスを売るために、ますます重要性を増しているSNSマーケティング。特に若者たちは、何かを購入する際に最も参考にするのがSNSだという。しかし、残念なことに、何となくSNSアカウントを運営している企業は数多い。
執拗な宣伝、目的のない施策など、そのマーケティングが逆効果になってしまう前に心得たい、適切な「SNS運用」の考え方を解説する。(取材・構成:塚田有香)
※本稿は、『THE 21』2021年1月号(PHP研究所)の内容を、一部抜粋・編集したものです。
SNSのユーザーが増加したことで、SNSを商品やサービスの売上増のために活用したいと考える企業が増えています。
確かに、SNSは商品やサービスを売るためにも有効なツールです。ただし、従来の広告や宣伝活動の単なる代替手段として使うのは得策ではありません。
SNSは、一般のユーザーが知人や家族とコミュニケーションを楽しむために生まれたツールであって、企業活動のために開発されたわけではないからです。
ですから、企業が商品やサービスを売るために活用するには、特性を理解し、使い方を工夫する必要があります。
まず、SNSが得意とするのは、直近の売上を作ることよりも、未来の売上を作るための「潜在顧客の育成」です。
また、新規顧客に認知を広げることもできますが、すでに自社のブランドや商品、サービスを知ってくれている顧客との関係性を強化すること、つまり「エンゲージメント(愛着心)を高めること」に向いています。
「ファンを作り、育てること」が得意分野なのです。
今日明日に、すぐに売上を伸ばそうとするより、既存顧客や潜在顧客との関係を深めるために使うのが、SNSの最も効果的な使い方です。この特性を活かして、最終的に売上増につなげるのが、「売るため」の基本的なSNSの活用法です。
SNSにも商品やサービスの購入を直接的に促す機能は備わっています。
例えばフェイスブックやインスタグラムには「ショップ機能」があり、ユーザーはSNS上で買い物を楽しめます(現時点ではSNSアプリ内での決済は国内未対応のため、別途ECサイトなどが必要です)。
しかし、だからと言って、購入を促すために商品の宣伝ばかりを毎日発信したらどうなるか。多くの場合、ユーザーやフォロワーの心は、その企業や商品から離れていきます。
今はユーザーが自分から情報を取りに行く時代です。企業が自社の都合で一方的に情報発信しても、その人が求めていない情報なら届かないし、必要のない情報がしつこく届くようなら、嫌われるリスクさえあるのです。
誤解のないように付け加えると、広告や宣伝をしてはいけないということではありません。扱う商材や顧客層によって、広告や宣伝が効果的な場面は、当然、あります。大事なのは、前述したSNSの得意分野を理解し、適材適所で活用することです。
更新:11月22日 00:05