2020年07月03日 公開
2020年07月04日 更新
私産形成には基本式があります。それは「時間」×「利回り」×「お金(金額)」という3つで構成されます。
つまり、これらが大きければ大きいほど、リターンも増えるということになります。
ただ、「利回り」を高くしようとすると、自然とリスクも高くなってしまいます。
また、「お金(金額)」は当然のことながら、富裕層と呼ばれる人にはかないません。
ちなみに1億円以上の金融資産を保有する人を日本では富裕層といい、日本では約6%(16~17人に1人、40人のクラスでしたら2、3名ほどいるイメージ)が該当します。欧米では日本円換算で2億円以上が富裕層と呼ばれています。
高いリスクもとれない、資産家でもない人としては、「時間(投資期間)」を大きくするしかないのです。
では、どのように時間(投資期間)を考えていくかを見ていきましょう。
投資時間を大きくするためには、「安全性」が重要となります。長期間の運用のためには、途中で何があっても私産を減らす可能性を少なくするということが重要だからです。
そこで必要になるのが「本当の意味での分散投資」です。
10個の卵を運ぶ時のことをイメージしてください。同じかごに入れて持ち運んでいたら、転んだ時に10個すべて割れてしまう。私産を一つのところに置いておくのはそれと同じで、何かあったら私産をすべて失ってしまう。一方、10個の卵を別々に1個ずつ運べば、時間はかかるけれどすべてを失うことはない、そういうことです。
「分散投資」あるいは「ポートフォリオ」という言葉は、聞いたことがある人も多いと思います。ただ、私がここで「本当の意味での分散投資」と前置きしたのは意味があります。
たとえば分散投資として「A社の株とB社の株に分散する」「株と投資信託に分散する」という説明がなされることがあります。ただ、私はこれを真の分散投資だとは思っていないのです。
私が言う本当の分散投資とは、「国、通貨、内容を分散する」こと。それこそが本当の意味のリスク回避につながります。
例えば、多くの人は日本で稼いだお金(円)を、日本円あるいは日本の株式などで持っていると思います。ただ、それでは日本にもし何かあった場合、すべてを失ってしまいます。つまり、世界中に分散することが大事なのです。
貯金も一緒です。日本円のみで保有していませんか? 世界の主流通貨にはアメリカドル、ユーロ、ポンドなどがあります。それらに分散する必要があります。
そのうえで、資産の内容も分散します。大きく分ければ紙の資産(株や債権<国債や社債>)と不動産です。株や不動産についても、日本と海外に分ける必要があります。
投資としては他にも現物商品コモディティ(純金、純銀、石油などのエネルギー関連、トウモロコシや大豆などの穀物)やビジネスへの投資(事業、自分がやるもの・他人がやるもの)も含まれます。
多くの人は「紙の資産」のみに分散していることが多いようですが、その他の分野もぜひ、意識してみていただければと思います。
もう一つ、安全性を確保するための方法として「ドルコスト平均法」があります。
これは、価格が変動する金融商品を常に一定の金額で、かつ時間を分散して定期的に買い続けるという手法です。100ドルなら100ドルと決め、その価格で買えるだけの口数の金融商品を購入します。つまり、価格が低いときの購入量は多くなり、価格が高いときの購入量は少なくなります。
投資で価格(例えば株価、国債、債券価格など)ばかりを気にする方が多くいますが、購入数も重要な要素です。投資の成績(いわゆるリターン)は、価格×口数だからです。
この手法だと、2008年のリーマンショックや今回のコロナショックのような大きく価格が下がった際は口数を多く買えることになります。
ドルコスト平均法を利用した積立投資は、値動きに波のある金融商品に投資をする際、投資タイミングや投資期間といった「時間」を分散することで、リスクとリターンを平準化できるのです。
更新:11月21日 00:05