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東京五輪に残る不安 …ウイルスだけでない「サイバー攻撃の懸念」

2020年05月18日 公開
2023年02月21日 更新

園田道夫(独立行政法人情報処理推進機構専門委員)

 

オンラインバンキングの被害額は年間数千億円!?

ユーザーが自分の機器のセキュリティレベルを上げることは、当然、自分自身のためにも重要です。特に、皆さんが日常的に使っているスマホは注意が必要です。

不審なメールには返信しない、記載されているURLをクリックしない、といったことは、ほとんどの方が気をつけているでしょう。最近は、以前のように明らかに日本語がおかしいメールは減りましたが、PCに届いたメールであれば、ヘッダーに表示されるアドレスなどが自然と目に入って、「どうもおかしい」と気がつくことが多いと思います。

しかし、スマホに届くメールやメッセージはヘッダーなどが表示されないので、不審に感じることなく、騙されてしまいやすいのです。スマホでオンラインバンキングをする人も増えていますが、オンラインバンキングがサイバー攻撃によって受ける被害額は年間数千億円にも上ると言われています。

ユーザーが迂闊だったために受けた被害でも、銀行が補償しているので、大きく報道されないのでしょう。クレジットカードも同様です。スマホのセキュリティ対策としては、まずOSをアップデートして最新の状態にしておくこと。さらに、セキュリティソフトも入れておくのがいいでしょう。

PCについても、OSのアップデートとセキュリティソフトのインストールが基本です。

 

ID・パスワードは半年~1年に1度変える

一般ユーザーのサイバーセキュリティ対策としては、ID・パスワードの管理も重要です。れは、自分一人だけの問題ではありません。もし、あなたがある会員サイトのID・パスワードを盗まれたとしたら、それを足がかりにして、1000人の会員情報が盗まれるかもしれないのです。一人1万円の被害を受けたとすれば、総額1000万円の被害です。

対策としては、まず、複数のサイトで同じID・パスワードを使い回さないこと。しかも、複雑なものにして、半年~1年ごとに変えてください。
こう言うと「覚えられない」と言われるのですが、それはその通りです。メモして、それをPCなどに貼りつけずに、財布や机の引き出しなどに入れておけばいいのです。

また、自分が利用しているサイトが攻撃されたというニュースが出ていないかチェックし、もし攻撃されていれば、パスワードを変更してください。

ただ、ID・パスワードはここ数年で見直しが進んでいて、将来的には不要になると思います。すでに一部で採用されていますが、1分間しか有効でないパスワードをその都度発行したり、スマホ側の指紋や顔などの認証を使ってログインさせたりする方法が主流になっていくでしょう。

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