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詐欺で4300万円が一瞬で消失!人生のどん底を味わった社長の「対修羅場のメンタル」

2020年03月03日 公開
2023年02月24日 更新

近藤宣之[(株)日本レーザー会長]

起きたことを恨むより次に活かせる対応を

起きたことを人のせいにしても、意味はなく、成長もないと近藤氏は語る。

「働いていれば、上司が悪い、部下が悪い、商品が悪い、取引先が悪い、いくらでも相手のせいにすることはできるでしょう。でも、他責にしたことで状況が良くなったことが一度でもありましたか。

日本レーザーは、輸入・販売を行なう会社ですから、為替相場の影響をもろに受けます。

例えば、2012年に1ドル=約80円の円高だったのが、2013年には、1ドル=約100円の円安となりました。それだけで、2000万ドル分の仕入れをすると、同じ製品を同じメーカーから仕入れるだけで、4億円のコスト増になってしまいます。

これを「円安になったら、赤字になってしまいました」で、済まされるわけがありません。天を恨んでも意味がない。違う製品を売るのか、値上げをするのか、すぐに次にどうすれば良いかを考える。

前述の振込詐欺についても、すぐに対応を始めました。取引先にも落ち度があったので、今後取引があれば、被害額の半額分のコストを下げてもらえることに。ただ、今後同様の受注があるかは未定で、半額回収の目途は立っていません。

しかし、この出来事が社内に周知され、取引先のメールアドレスなど、連絡先が変更になったときには、みなきっちりと確認をして、備えることを徹底するようになりました。成長の気づきをもらったわけです」

理不尽を嘆くどころか、むしろ感謝をもしているという。「もし、この被害が、4、5億円だったら、会社が傾いていました。4、500万円だったら、
そのうち忘れてしまう。4300万円という金額は天がうまく気づきを与えてくれたと思っています。

パワハラなど、無意味で過剰なストレスは論外ですが、適度なストレスは、成長の源であり、気づきの種。受け止めて、次に生かすことで、初めて人は成長します。

逆に言うと、全然ストレスを感じていない人は、成長が止まっていると思ったほうが良いかもしれません

 

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著者紹介

近藤宣之(こんどう・のぶゆき)

㈱日本レーザー会長

1944年生まれ。慶應義塾大学工学部卒業後、日本電子㈱入社。28歳のとき、異例の若さで労組執行委員長に推され、11年務める。アメリカ法人支配人などを経て、赤字会社や事業を次々に再建。その手腕が評価され、債務超過に陥った子会社の㈱日本レーザー社長に抜擢。就任1年目から黒字化、以降26年連続黒字、10年以上離職率ほぼゼロに導いた。著書に『ありえないレベルで人を大切にしたら23年連続黒字になった仕組み』(ダイヤモンド社)などがある。

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