2019年12月16日 公開
2023年02月24日 更新
Yahoo!アカデミアの実際のプログラムでは、まずは対話によって各自の「過去」を振り返った後、「現在」と「未来」についても語り合います。
過去の人生がどうだったかを知った上で、それを踏まえて、自分の人生にとってどんなことが大事だと考えているのか、何度も触れてきた、自分の信念、譲れない想いを言語化していくのです。
その結果、「どうやら自分はこんなことを大切にしているんだな」「自分がやりたいことは、これじゃないかな」というのが見えてきます。
ここまでくると、過去を生きてきた結果として現在があって、現在の積み重ねの先に未来があるという流れが浮かび上がるわけです。
未来について語る言葉はより前向きに、具体的になっていきます。
また、他の人が語ったことに対する反応も変わってきます。
単なる質疑応答だけでなく、
「それはあなたの過去のこういう経験とつながっているんじゃないかな?」
「だとしたら、これからはこんなことにチャレンジしてみたらいいんじゃない?」
「もっと具体的にプランニングできるんじゃない?」
といった、アドバイスをお互いにしていくことができるようになってきます。
もちろん、こうした対話を1回やっただけで、自分の未来について明確な答えが出るというわけではありません。
たとえば、Yahoo!アカデミアでは2泊3日の研修合宿で対話を繰り返したりしますが、たったの3日でモヤモヤが完全に晴れるわけではありません。
ただ、一度でも「過去を振り返り、現在を知り、未来に想いを馳せる」流れを経験すれば、それだけでも変わるものはあります。
過去の出来事があるから現在の情熱があり、現在の想いが未来をつくっていくという自分の「軸」を体感できる。
こうした考え方を習慣にできれば、日常のモヤモヤに対して自分で答えを出すときにも、過去にさかのぼって現在を知り、現在の想いから未来を考える、というスタイルが身についてきます。
そして、この「過去を振り返り、現在を知り、未来に想いを馳せる」という考え方は、本書で繰り返し述べてきた「将来に悩む前に、目の前のことを無我夢中でやろう」というメッセージとも嚙み合います。
1つ例を出しましょう。これから自分がどこに向かうべきか迷ってしまい、現在地点から動けない人がいるとします。ここで何も行動しなければ、一生「キャリア迷子」です。
そこで、とにかく何かしらの行動を起こします。これが、目の前のことに一生懸命に取り組むということです。無我夢中で取り組んでいれば、その分だけ前進します。
すると、かつて「将来に悩んでいる自分」がいた地点が、現在から過去の出来事に変わっているので、振り返ることができるようになります。
ここで一旦、それまでの自分─目の前のことに無我夢中で取り組んできた自分について、振り返ります。
先ほども説明したように、過去の自分を振り返ることは、その延長線上にある「現在の自分」、ひいてはその先にある「未来の自分」について考えることにつながります。
現在の自分を知ることとは、「自分の中にある信念=譲れない想いを知ること」です。
そこで自分の信念に気づくから、「将来もこうありたい」という未来が生まれるのです。
つまり、目の前のことに全力を注ぐことで、行動した現在が過去になり、その過去を振り返ることで、「自分の軸」や「進むべき未来」が生まれるのです。
だから、私はこう思うのです。
「未来に悩んでいる人こそ、とにかく行動せよ」と。
もちろん方向転換することもあるでしょう。時間がかかることもあるでしょう。
それでも、これを何回も繰り返すことで、「自分の軸=信念」が見えてくるはずです。
これこそが、「Lead the self」の目指していることなのです。
更新:11月24日 00:05