2019年11月05日 公開
2024年11月20日 更新
「生保・損保2冠王」の伝説の営業マンと呼ばれる一戸敏氏。経験ゼロでいきなり営業の世界に飛び込んだにもかかわらず、またたくまにトップ営業マンになり、現在では300人規模の会社を率いる経営者でもある。そんな氏の著書『あの営業マンが選ばれる「本当の理由」』から、今すぐ役立つ営業の極意を紹介する。
「ここぞ」という日には赤色の「勝負ネクタイ」を締めるとか、縁起を担いでラッキーカラーを取り入れるとか、人と会う仕事ゆえに、ファッションに独自のこだわりをもつ営業マンは少なくありません。
私の場合、紺色のネクタイはできるだけ締めないことにしています。もともと色が黒いせいか、紺色のネクタイを締めると顔の色が暗く沈んで見えるからです。ですから、青色系統では比較的明るい色のネクタイしか締めません。
みなさんは、服装はもちろん、髪型、腕時計などの小物、カバン、そして体型や姿勢にいたるまで、自分が他人からどう見えるかを日常的に意識しているでしょうか。「どう見せるか」を考えている人は多くても、「どう見えるか」を意識している人は、そう多くないと思います。
しかし、実績を残し続ける営業マンの多くは、意外なほど「どう見えるか」を計算しているものです。思考パターンが「他人軸」になっているからでしょう。一方、「どう見せるか」しか考えないのは「自分軸」の思考だといえます。
いつだったか、夏の暑い日、小さな工務店を訪問するのにきちんとネクタイを締めて出ていき、そのまま汗だくで帰社した若い営業マンがいました。話を聞くと、お客様からネクタイを外すよう勧められたものの、身だしなみ第一と考えて、きちんとネクタイを締めたまま頑張った、と誇らしげに言うのです。私は、アホかとたしなめました。
彼の言う通り、たしかに身だしなみは大切です。「暑いから」という個人的な理由でネクタイを外さなかったのは、立派な心がけといっていいでしょう。しかし、時と場合によります。
汗が止まらず見苦しい姿を見せるくらいなら、お客様に勧められたときにネクタイを外すべきでした。何より、そもそも社長以下、作業着姿の男しかいない店舗へ顔を出すのですから、ノーネクタイでよかったのです。スーツにネクタイという、いかにもエリート然とした「ホワイトカラー」は、彼らが最も嫌う人種だからです。
とはいえ、もちろんそのときの彼にエリートを気取るつもりはなかったでしょう。しかし、自分が「どう見えるか」を意識していたら、誤解を招きかねないことに気づいたはずなのです。
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更新:11月22日 00:05